FC2ブログ

 ・くれないの影 第六章――3 ・くれないの影 第六章――2 ・くれないの影  第六章 月下に舞う――1 ・くれないの影 第五章――12 ・くれないの影 第五章――11 ・くれないの影 第五章――10 ・くれないの影 第五章――9 ・くれないの影 第五章――8 ▼もっと見る

RSS

カテゴリ:くれないの影のエントリー一覧

  • くれないの影 第六章――3

     土岐野は 袿(うちぎ)をするりと脱ぎ捨て 立ち上がると、 腕を伸ばして 長押(なげし)の薙刀(なぎなた)をつかむや、  一気に障子を開け放った。「何者!」 一人、 二人、 三人、 四人、 五人とも 見たことの無い顔だ。 土岐野を見て 全員が抜刀した。 誰何(すいか)に応える者もいない。 土岐野は 油断なく薙刀を構えて、 庭に降り立った。 力量が同じならば、 長い武器は おおむね有利に働くが、 狭ければ逆だ。 部屋に...

  • くれないの影 第六章――2

    「うまくいったようだな。」 頭目とおぼしき男が 辺りの様子を確かめて、 かたわらの男に 囁(ささや)く。「当たり前だ。 ぐっすり眠ってる」 答えたのは、 昼間 火事見舞いに来た男だった。 しゃがみこんで、 門柱にもたれかかって眠る門番のおでこを ぺちゃりと叩く。 声を潜めてもいない。「おい、 余計なことをするな。 起きたらどうする」「大丈夫さ。 このくらいじゃ起きねえよ。  よく効く眠り薬を、 たっぷりと水がめ...

  • くれないの影  第六章 月下に舞う――1

     国司の使いだと名乗る男が、 領主屋敷を訪れた。 四十歳ほどの 落ち着いた男が一人。 無事を祝う口上と、 火事見舞いの品を持ってきたという。 使いの男は、 敷地内の奥に建つ別棟に案内された。 其処を 綺羅君と焼け出されて行き場の無い四人の召使い、 実は軽業師たちが使っている。 新しく流人屋敷が用意できるまでの 仮の住まいであるから、 家中の者どもは近づくな と命じられて、 余人が立ち入ることの無い 静かな一...

  • くれないの影 第五章――12

    「煌めきの君が 現れたらしい。 弔いをあげ損なった」 いやそうな口調とは裏腹に、 表情も 態度も さりげない。 言われた男の方も、 表情を変えなかった。「我らも それを聞き、 帰途急ぎ引き返して 真偽を確かめましたが、 本当のようです」 淡々と報告を告げるのみだ。「しぶとい方だ。 春に西外れの舞台が 火の気も無いのに焼けたのを幸いに、  たちの悪い夜盗の仕業として収めたが、 生きているのでは 仕方が無い」 口...

  • くれないの影 第五章――11

     白菊は 心引かれる若君に出会った。 二年半前のことだ。 胸の底から熱くなる想いを、 その時 生まれてはじめて知った。 身を焼き尽くすほどに焦がれた。 離れ離れに引き裂かれて 逢えないのなら、 かえって耐えられただろう。 想いを胸に秘めて生きることも、 白菊になら できたかもしれない。 だが、 近くにあって 義姉と呼ばれることには、 到底 我慢できるとは思えなかった。 そんな折に、 突然、 父が逝った。 あの...

  • くれないの影 第五章――10

     門柱の傷は 三本の縦線と 交差した三本の横線。  魔封じの『目』だ。 魔性のものは、 線を与えられると 辿(たど)らずにはいられないらしい。 線と線が交わる所には 捕らえられて、 抜け出せなくなるともいわれている。 交わる所を 『目』と呼ぶ。 竹で編む籠なども、 交わるところを『籠目(かごめ)』や、 『編み目』と呼ぶのと同じである。 修験者たちは、 揃って門前に立ち、 金剛杖を一斉に打ち鳴らすと、 腹の底から...

  • くれないの影 第五章――9

     鹿の子には もう一つ 心配なことがあった。「お二人を 狭い土蔵に一緒に置いて 大丈夫かしら。 綺羅君は…… そのう…… 見境のない方だし、  紅王丸様の身に…… 危険が……」「大丈夫です。 いくら綺羅君様が物好きでも、 あの恐ろしいご様子では 手をお出しになるとは思えません。 お役目でなければ 私も お傍には行きたくないくらいです。 それに、 紅王丸様は、 見た目は 女人のように たおやかでお美しい方ですが、 お小さい...

  • くれないの影 第五章――8

     夕暮れが迫ろうとする頃になって、 五葉が やっと部屋に来た。「五葉さん。 お腹がすいたわ」「あっ、 はい。 すぐに 夜具のお支度を」「お腹がすいたって言ってるの」「そうでございますね。 湯殿の様子を見てまいります」「こらっ!  い・つ・は!  しっかりしなさい」 鹿の子の大声に、 五葉は びくんと体をこわばらせた。 心が、 遥か彼方に お出かけしていた様子だ。 鹿の子だって 若い娘だ。 いくらなんでも 直接は...

プロフィール

しのぶもじずり

Author:しのぶもじずり
とりあえず女です。
コメントを頂けると、うれしいです。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

検索フォーム

いらっしゃ~い

らんきんぐ

よかったら押してね
 にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ にほんブログ村 小説ブログへ
 

リンク

このブログをリンクに追加する   リンクフリーです

おきてがみ

FC2以外のブログからお越しの方、クリックで足跡が残せます。
「ことづて」は機能していませんので、ここにはコメントは残せません。

RSSリンクの表示

QRコード

QR

月別アーカイブ

フリーエリア