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カテゴリ:馬十の辻に風が吹くのエントリー一覧

  • 馬十の辻に風が吹く 第八章―7

     真咲の揺るがぬ視線が 太保以を縫い留める。「あなたの謀(はかりごと)は、 成就しません。 大蔵卿も、 望んでいらっしゃらない御様子。 公になっていない今なら、 止められます」 息子の企みに気付いて、 毒草をすっかり処分したことから、 大蔵卿の心中は測れる。「それはどうかな」 あながち強がりとも思えない様子で、 太保以は うっすらと嗤(わら)った。 その途端、 片手が胸をかきむしる。 絞り出す声で放った 太保以...

  • 馬十の辻に風が吹く 第八章―6

    「まさか」「はい、 御無事です。 私に、 あなたを『止めよ』 とお命じになられ。 これを」 真咲が掲げた左手から、 細い皮帯が垂れた。 鋼玉(こうぎょく)をはめた 鋼(はがね)飾りが、 びっしりと打ちこんである、 親王にのみ許された 飾り帯だ。 あの日、 笑い転げる女官たちから身を隠し、 真咲も後を追った。 馬車ならば、 通常は馬十の辻を南に進む。 広く、 勾配の少ない道だ。 石動原の馬車が通るのを、 真咲も何度...

  • 馬十の辻に風が吹く 第八章―5

     残照が 荒れた屋敷を赤く染め始めていた。 しかし、 真咲の頬が赤いのは、 光のせいばかりではない様子だった。 恥ずかしそうに微笑んだが、 悲しそうに見えるのはなぜだろう、 と太保以は訝(いぶか)しんだ。「そろそろ 祝いの儀が始まる頃です。 宰相も年貢の納め時だ。 あなたには手の届かない存在になる。 そうだ、 明るい色の衣装を贈りましょう。 私と一緒なら、 美しい夢を見せてあげられる」 太保以は、 真咲の頬...

  • 馬十の辻に風が吹く 第八章―4

     ひとけの無い廃墟を、 言葉を交わしながら、 二人は 縦に並んで進んでいく。 真咲は 遠慮がちな小声で。 太保以は 普通の声で。「そういえば、 幸真千が探していた斑猫は 見つかりましたか?」 不意に気になる事を思い出したように、 太保以が振り向いた。「たぶん、 尾黒が食べてしまったのだと思います」「いや、 それは無いでしょう。 先日も内裏で見かけましたから」 呆れたように笑われた。「あの~う、 毒があるのは...

  • 馬十の辻に風が吹く 第八章―3

     そこは、 以前は 羽振りの良い貴族の持ち物だったが、 ある事情から打ち捨てられて、 住む人も無く、 すっかり寂れた様子になっている屋敷だった。 元気いっぱいの住人が住んでいれば、 ボロ家でも活気があるものだが、 いくら豪勢な作りでも 無人になると みるみるうちに建物はすさんでいく。 ギシギシ鳴るくぐり戸を開けて、 真咲は門内に踏み込んだ。 ゆっくりと見回しても、 人が居る気配は見えない。 少し迷い、 袖...

  • 馬十の辻に風が吹く 第八章―2

     桜子と幸真千の消息が不明なまま、 熱密との交渉は順調に進み、 交渉は成った。 そうして、 突然 降って湧いたような噂が 巷に流れた。 葦若と砂々姫の婚礼話だった。 石動原邸で 祝言が執り行われるという。 幼い二人の御子が行方知れずになって、 沈みがちだった都を、 噂は あっという間に席巻した。 婚礼の仲立ち人を 帝が自ら買って出たとか、 葦若の後見人の北山院も ノリノリだとか、 事情があって 自国を離れら...

  • 馬十の辻に風が吹く 第八章―1

    「我が領地斗平野では、 長年にわたって 優れた馬を産出してまいりました」 石動原多万記は、 東宮の御前に居た。「馬?  いきなり馬なのか?  余も そこそこに忙しい。 判じ物のような文の解読に、 かなり手間取った。 ややこしい事には、 これ以上関わりたくない」 多万記は、 こんな事では引き下がらない。 前回は葦若の名前と地位を利用したが、 今回、 それは使えない。 しつこく願い出て、 やっと叶った面会である...

  • 馬十の辻に風が吹く 第七章―5

     太保以は続ける。「交渉に長けた人材ならば、 探せば他にも居るはずです。 領地を取り上げ、 家を潰しても良いくらいだ」「そなたの言い分は分かった。 二人を大切に思ってくれて嬉しい。 しかし、 まだ調査中だ。 生きているとも死んでいるとも、 証拠が出た訳でもない。 桜子と幸真千の無事を ともに祈ろう」 内裏にまで出向いた甲斐もなく、 帝の手ごたえの無さに、 太保以は苛立ちを含んだ息を吐いた。「はあー、 叶う...

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