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赤瑪瑙奇譚 第八章――4



 そんなある日、 詩語(うたがた)りの流れ芸人が ウケラ城にきた。
 楽器を奏でながら 詩を語り、 歌い、 定住せずに 各地を流れ歩く輩である。
 彼らは 国境を気にすることなく、 何処にでも ふらりとやってくるが、
 さすがに 城にまで押しかけてくる者は めったにいない。

 メドリに 詩を見せたい と言っているらしい。
 心当たりは 無かった。
「なんで詩語り、 私にですか」
 取り次いだ召使に 聞き返す。

「はい、 詩を預かってきました。
 気に入られたら、 姫様にも 語ってお聞かせしたい と申しております」

 何気なく渡された紙を 読んだメドリは、 目を見開いた。
 そこには 「怪傑赤瑪瑙頭巾の詩」 という、 みょうちきりんな詩が 書かれてあった。


   何処の誰やら 知らねども  いずれ 誰もが 知っている
   怪傑赤瑪瑙頭巾の姐(ねえ)さんは  正義の味方だ  良い人なのだ
   疾風(はやて)のように 現れて  疾風のように 去ってゆく
   怪傑赤瑪瑙頭巾は 誰なんだ?  怪傑赤瑪瑙頭巾は 一体全体 誰なんだ?


「あらまあ、 気に入ったわ。
 その詩語りは 何処にいらっしゃ……いえ、 いるの?
 会いますから、 待たせておいて」

 召使が去ると、 メドリは あわてて ユキアに紙を見せた。
「まず、 私が会って 確認してきます」
 メドリが きりりと 表情を引き締めた。
 赤瑪瑙頭巾と名乗ったのは、 コクウの騒ぎの折だけだ。
 それを知っている人物 ということになる。

「こういう手段で 会いに来られるからには、 どなたであるにしろ 内密なお話でしょう。
 大きな声で お名前を呼んだりしては 駄目よ。
 それにしても、 これって詩なの?  ひどすぎる……」


 詩語りは、 琵琶をかついだ、 いかれた恰好(かっこう)の おやじだった。

「姫様が、 是非、 そなたの語る詩を お聞きになりたい との仰せです。
 そそうの無いように」
 メドリは、 案内しながら 小声でささやいた。
「その格好、 似合い過ぎです」

「気に入っていただけましたか。 ちょっと 自信がありました」
 詩語りも、 小声で返す。

「ホヒコデ陛下に お会いしたい。 取次ぎを頼む」
「かしこまりました。 でも、 なんですの。 あの 『怪傑赤瑪瑙頭巾の詩』 というのは」

「わたしの顔を知っている 姫の随行員たちに 会おうとしたのだが、
 東国使節団の随行をしていて 国内には 居なかったので 仕方なく。
 あれなら、 あなただけに 分かると思いましたので。
 カムライ殿下に、 話は全部聞いています」

 メドリは、 そっと 溜息をついた。
「いえ、 そういう意味では なく……」


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コメント
250: by ポール・ブリッツ on 2012/07/07 at 11:34:20 (コメント編集)

快傑赤瑪瑙頭巾の歌だったら、こっちじゃないんですか?(^^)

http://www.youtube.com/watch?v=Thc7AOm4ITM

つボイノリオは論外として。

252:Re: ポール・ブリッツ様 by しのぶもじずり on 2012/07/07 at 12:45:18 (コメント編集)

ライオンと豹に噛まれたお姉さん……おばさん……おばあ……は知っていましたが、
すいません。この歌は知りませんでした。

> つボイノリオは論外として。
この下品な歌を作る人も、全く知りません。「〇☓の大冒険」を書く予定もありません。

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