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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 4−5


 その後の調べで、
 火梛の推理というより第六感が当っていたことが明らかになった。

 飯綱瑞祥庵の色紙は めったに無い高級品で、
 やっぱり 胡枇では 無言堂しか扱っていなかった。
 色紙にお金を使うより、食材に使えば良かったのに
 と思うのは 私だけではないはずだ。

 ボラボラ坊ちゃんの奥さんも 無言堂のお得意さんで、
 おしゃべり店員相手に、
 あの日は家中が留守だ としゃべってしまったらしい。
 ボラボラ坊ちゃんも、
 スケジュールの変更が起きなければ、仕事が入っているはずだったとか。
 実際は 胡枇芸の美学・美術史学科の見学会があった訳だが、
 奥さんが変更を聞き逃していたようだ。
 夫婦のコミュニケーション不足だ。
 夫婦仲は大丈夫だろうかと、三流週刊誌みたいなことを言ったら、
 星来にあきれられた。

 美術館の絵葉書は、無言堂のオリジナルを卸していたようだ。

 コモドオオトカゲも 確かにお得意さんで、
 大量購入した画材を届けに行ったことがあったという。

 二丁目大学に額縁を納入したのも 無言堂だった。
 額縁を運ぶ振りして 堂々と機械を持ち出したらしい。
 堂々と運んでいると 誰も不審に思わないということを、
 以前 同じ手口で大きな額絵を盗まれた経験から学んだらしかった。
 勉強熱心な奴だ。
 伎観の絵は お詫びのつもりだったとか。

 ジャジャーン。 私の推理も当っていた。
 動機はヤキモチ。

 彼は大金持ちの坊ちゃんで、
 小さい頃から神童といわれ、絵画コンクールで何度も賞を取っていたが、
 何故か 作品は全く評判にならなかった。
 音楽の才能も有って、
 楽器演奏のコンクールと作曲コンクールでも受賞していたが、
 これらは話題にもならず、
 裕福な家で育っているから 相当なグルメでもあったらしい。
 おまけに、住んでいた屋敷も別荘も素晴らしいもので、
 建築物にも造詣が深かったみたいだ。

 町でスカウトに声をかけられたことがあったが、
 ぼそぼそしたしゃべり方のせいか、
 結局スカウトもされずに去って行かれた。

 唯一、豊富な資金で道楽半分に始めた画材店で、思わぬ成功をした。
 いや、大成功と言っても良い。
 何しろ 天下の星白屋デパートが、
 無言堂にはかなわないからと、画材売り場を縮小したくらいだ。
 一つだけでは駄目だったんだろうか。
 欲張りな奴だ。

 これらのことは、後日テレビのニュースショーでも報道されて、
 全国民の知るところとなったが、
 加太和布先生経由で、もう一つびっくりする事実も伝えられた。

 玉輝美童は芸名だが、
 彼は胡枇芸の美学・美術史学科に入学して 早々に消えた学生だった。
 子どもの頃から絵を描いていたので、無言堂は知っていたらしい。
 退学してからも、好きな絵を描き続けていたとか。
 私たちと同じ年。
 そう、ガイダンスの後に居なくなってしまった奴だ。

 ルックスに自信があって、
 いつでも女の子にキャアキャアいわれる存在だったのだが、
 胡枇芸で見初めた女の子に声をかけたら、
 軽くあしらわれた挙句に無視され、落ち込んでしまったらしい。
 悩んだ末に、自信を取り戻そうとプロダクションのオーディションを受けて、
 めでたくデビューしたんだとか。

 全然覚えていないが、彼を振った子って誰なんだろう。
 星来かとも考えたが、同じ学科の子なのだそうだ。
 美童の落とし所は 顔ではないみたいだ。
 これを知ったら、ファンも喜ぶだろう。


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