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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 4−1


 てんびん座は 大きな映画館だった。
 
 映画を見るのは久しぶりだ。 星来と火梛も一緒だ。
 火梛ははじめに着ていた古風な衣装を着ているが、
 眼鏡と帽子がある為 珍妙な姿になっている。
 もったいない。
 袋に入れた細長いものも持っている。
 映画を見るのに何を持ってきたのだろうか。
 加太和布先生も来るはずだった。

 もうすでに開場して、お客さんはどんどん中に入っていく。
 どうやら 会場時間を早めたらしい。
 席が決まっているので、私たちも入って待つことにした。
 好みに合わない美童の映画を、
 わざわざ見に来る羽目になるとは思っていなかった。
 映画館に来たのは久しぶりだけど、
 楽しいのかというと、やっぱり微妙。


 昨日、警部と平題箭さんが居なくなってから、
 先生が入れなおしてくれた暖かいお茶を飲んでいると、
 研究室にやってきた人物がいた。
 講師の八重葎(やえむぐら)先生だった。

「加太和布先生、よろしいですか。 明日の予定はありますか。
 もし時間が空いているようなら 映画を見ませんか」
「映画?」
「はい、
 明日封切りする『なんちゃって王子の休日』という映画なんですけど、
 ぼく、美術で参加してるんですよ。
 主演の美童君は めちゃくちゃ大根ですけど、
 他の出演者や制作関係者が豪華で、
 特に 裏方がものすごく頑張ったんで、
 いい画面が出来ちゃいました。 ちょっと自信です。
 先生にも感想とか聞きたいなあ なんて思うわけで、
 入場券あります。
 二館目に上映する 『てんびん座』のです」
 言いながら封筒を取り出して、入場券を出している。
 五枚くらい入っていた。

「あらあ、二館目なの? 微妙ね」
「てんびん座の方が、ゆっくり見られますよ。
 時間帯も手ごろですし」
「いいわ。 それ全部くれたら見に行っても」
「ええーっ、全部ですか。
 一枚は自分用で、
 鈴木さんと事務局のお姉さんたちにも上げようと思ったのに」

「八重葎君も行くの?」
「試写は見たんですけど、
 自信作なのでお客さんと一緒に見て反応が知りたいなあ、
 なんて思ってるんですよ」
「じゃあ四枚に負けてあげるわ」
「分かりました」
 しぶしぶ四枚のチケットを渡した。
「それって、鈴木さんの分も入ってますか。
 鈴木さんは美童のファンみたいだから、
 喜んでくれると思いますよ」

「鈴木愛は逃走中だから、放っておいて大丈夫よ。
 クリちゃんには 国家権力がついてるから、いらないわね」
 八重葎先生の顔が「?」で埋め尽くされた。


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