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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 3−17


「ヤキモチねえ。 そんな阿呆な理由で ここまでしますか」
 思いつきで言ってみたけど、やっぱり阿呆らしかったかな。
 達磨坂に速攻で反論された。

 反省していたら、思いがけず星来が乗っかってきた。
「でも 他に思いつかないんだろ。
 被害に遭っているのは、どれも世間で評判を呼んだものばかりだ。
 いかがわしいものはたくさんあるが、
 いかがわしい上に評判になるものは限られている。
 ヤキモチは怖いぞ。
 その線で次の被害候補を推理して、当ったら可能性大だ」
 そうだ、ヤキモチは怖い。

「いかがわしい人気者といったら、加太和布先生かな……
 あわわわ、ごめんなさい」
 いらんことを言ってしまった。
「いいえ、カダメちゃんの人気は熱狂的ではあっても、
 ごく一部に限られています。
 今回の場合には当てはまらないでしょう」
「ちょっとクリちゃん。『いかがわしい』のほうは否定してくれないの」
 達磨坂警部は、抗議を無視した。
「最近、世間で評判になっているものといったら 何がありますか」
「………………」
「…………」
「……」

「駄目よ、クリちゃん。この人たちは世事に疎(うと)いから。
 そういうことは流行に詳しい学生か マスコミにでも聞かなくちゃ」
「この時間帯に学内に残っている学生の中には、その手の人間はいないと思う」
 星来の指摘は正しい。
 私も先生もうなずいた。

 そのとき、物陰から怪しい高笑いが響いた。
「おーほっほっほ、私の出番のようね」
 平題箭記者だ。
 呼んでないし。

「あんた、どっから湧いてきたのよ」
「人をボウフラみたいに言わないで頂戴。
 特ダネを狙おうと思ったら、何処からでも湧いて出るのよ」
 加太和布先生の突っ込みを、自分で認めた。
「そういう情報なら任せて欲しいわ。
 今現在で条件に当てはまるのは、一人しか居ないわ」
 平題箭記者は 自信たっぷりに言い切った。

「誰?」
 火梛以外の全員が、いっせいに聞いた。
「玉輝(たまかぎ)美童(びどう)よ」
「知っている。 ひどい大根だな」
「なんで人気があるのか分かんない。
 縦引きのノコギリで木口に引いているみたいな 酷いがらがら声じゃないの。
 最低」
 声フェチとしては、黙って見過ごすわけにはいかない。
「虚維、大工仕事もするの? 上手い例えだわ」

「皆さん酷すぎませんか。
 演技力はからきしですが、今や人気絶頂の美貌を誇る俳優ですよ。
 もちろん、火梛氏には敵いませんが」
 平題箭記者、変な奴と比べないで欲しい。
 火梛の声は よく響いて最高だ。
「でも俳優ですよ。 生身の人間です。 壊すわけにはいかないでしょう」
 警部は期待した分、がっかりしている。


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コメント
2823: by LandM on 2015/03/07 at 16:43:02

嫉妬も行動の原動力ですからね。
それで動かされることも良いでしょう。
嫉妬も案外侮れないですからね。

2824:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2015/03/07 at 17:28:41 (コメント編集)

「ヤキモチ」と言えば、可愛らしい感じもありますが、
「嫉妬」と書くと、なにやら恐ろしげになりますね。
もめ事の種にないそうな雰囲気があります。
くわばらくわばら。

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