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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 3−15


 思い出した。 そのあとに
『どうしてこんな子を産んじゃったんだろう』 って言われたんだった。
 少なくても三回は覚えてる。
 そう言われた時の部屋の様子まで、ありありと浮かんできた。
 ああ、劣等感の原因はこれだったのか。
 ……でも、ヤキモチってなんだろう。 分からない。
 もやもやして、苛々する。

「それで自分でも オバカだと思い込んじゃったのね。 可哀想に。
 でも それほど空っぽでもなかったわね。
 ボラちゃんの家で迷わなかったのは あんただけよ。 見直したわ。
 だけど 実の親から馬鹿だと言われ続けたなんてね。
 虚維は 可愛がられて育ったんだと思っていたわ。
 そんな感じがするわよ」

 あれは、立体模型のおかげであって……、
 そんなことより、
「ベタベタに可愛がられました。
 父さんは遊び人だったらしいけど、
 私が生まれた途端に 子煩悩な父親に大変身したって 親戚中が言ってます。
 母さんの父さん、私のおじいちゃんも、
 自分の子どもには厳しい人だったけど、
 初孫の私には あきれるくらい骨抜きだったって、
 これも親戚中に言われました。 ……あっ、だからか……」

 母さんを生んだおばあちゃんは 早くに亡くなっている。
 叔父さんや叔母さんは 後妻に入ったおばあちゃんの子どもだ。
 母さんにとって、おじいちゃんは特別だったのかもしれない。

 若い頃いいかげんだった父さんとの結婚は、
 反対する人も多かったと聞いている。
 周囲の反対を押し切って 一緒になった父さんと、
 特別だったおじいちゃんを、私は独り占めにしちゃったんだ。
 母さんに嫌われているのかと寂しい気持ちになったこともあったけど、
 寂しかったのは 母さんだったんだ。

「母さん…… 寂しかったんだ。
 ………… 知らなかったなあ、
 親が子どもにヤキモチを焼くことがあるなんて…………」

「あたしも知らなかったわ。
 でもね、子どもは 大人が思ってるより子どもじゃないように、
 大人は 子どもが思っているほど大人じゃないのよ。
 許してあげなさい。
 問題点がみつかったんだから、よく噛んで、じっくり飲み込んで、
 ちゃんと消化するのよ。
 悲しい劣等感も全部虚維のものなんだから、
 丸ごと自分の中に取り込みなさい。
 そうやって大人になっていくのよ」

 確かに、子どもは大人が思っているほど子どもではない。
 大人は忘れたかもしれないが、
 子どもだった頃、随分多くのことを知っていたはずだ。
 どの大人が 自分を甘やかしてくれるのか、
 どの大人が 自分にとって大事な人なのか、
 なんとなく知っている。
 言葉を知らないから、意識が明確な形を取りにくいだけなんだ。
 時に 大人を操って利用さえする。
 大人同士の愛憎も、それとなく感じ取っていた気がする。

 年齢だけを考えれば、十六歳ならあたしだって もうすぐ大人だ。
 ほとんど大人に近い。
 でも さっぱり大人になった気がしない。
 多くの大人も、きっと同じなんだろう。
 歳だけとっても、大人になろうとしなければ、
 何も出来ない子どのままなのかもしれない。
 パパッとお湯とか掛けたら、簡単に大人になれるわけではないんだ。
 なんか大変そう。
 どうすればいいんだろう。

「あれっ? 
 消化不良を起こしてもかまわないから、とにかく齧れ、
 じゃなかったんですか」
「それは水墨画の話でしょ。
 大事なことは、時間がかかっても良いからちゃんと消化するのよ」

 やっぱり よく分かんないけど、
 時間がかかっても良いなら、少しは何とかできるかも……。
 いやあ〜、全く自信がないわ。



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コメント
2813: by LandM on 2015/02/28 at 14:49:05

「問題点がみつかったんだから、よく噛んで、じっくり飲み込んで、ちゃんと消化するのよ。」

この言葉は私も今でもできているのか?
・・・社会人として思うところです。
納得させられる文章です。

2815:Re:LandM様 by しのぶもじずり on 2015/02/28 at 23:09:48

私自身は、できてないと思います。
わっはっは
書くのは無料。
いつもコメントをありがとうございます。

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