RSS

ずぼらなユン、やぶれかぶれ 3−12

 
 まさか、本物?

 でも、出現の仕方が どうにも常識外れだし、
 それに 火梛の様子を見ていると、
 とんでもなく田舎で 電気も無い暮らしをしているようだし、
 仮にも王家の末裔ともあろうものが、
 歴史も暦も知らない 非文化的な育ち方をしているとは信じがたい。
 考えれば考えるほど 火梛って現実離れしているよねえ。
「世界の動物―テレビ動物園」で見た
 イボイノシシのほうが、よほど現実味がある。

 だけど どこかにいるはずの王家の末裔が どこで何をしているのか、
 ちょっと興味が湧いてきた。
 そのへんに転がってたりして。
 一つ確かなことは、星来の一家、級長戸辺家は違うということだ。
 おやじ、お袋、と両親を呼ぶお姫様がありだとしても、
 ご先祖様が バッタモンの貴族なのだから間違いなく違う。

 ぐるぐると どーでもいいことを考えている自分が馬鹿らしくなり始めた頃、
「失礼致します。 ご挨拶に伺いました」
 部屋にイボイノシシ、もとい、女将が来た。

「本日は 当飯綱瑞祥庵にお運びいただきまして、
 誠に ありがとうございます。
 失礼ですが お客様は、
 星白屋さんやらチガヤさんの
 級長戸辺グループの社長さんとお見受けいたします。
 ご立派なお客様をお迎えできて、私どもも光栄に存じます。
 ご迷惑でなかったら、色紙をご用意させていただきましたので、
 ご来店の記念に 一筆お願いできませんでしょうか」
 差し出した色紙は 豪勢な模様が入った高級品だ。
 無言堂で見かけた値段だと、かなり高価だ。
 そうか、こういうことにも使うのか。

「確かに級長戸辺ですが、色紙は遠慮させてもらいます。
 おかげさまで、そこそこ大きな会社を経営していますが、
 所詮一介の商人です。
 立派な色紙に署名するなど おこがましい」
 言葉は柔らかいが、
 一介の商人であることへの誇りがにじみ出た迫力は、
 有無を言わせない意志の強さを感じさせて、女将を黙らせた。
「…………ぶしつけなお願いをいたしました。 申し訳ございません。
 今後とも 手前どもをご贔屓賜りますよう」
 あわてたように引き下がっていった。
 おじさんたら カッコイイかも。



戻る★★★次へ

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   

プロフィール

しのぶもじずり

Author:しのぶもじずり
とりあえず女です。
コメントを頂けると、うれしいです。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

検索フォーム

いらっしゃ~い

らんきんぐ

よかったら押してね
 にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ にほんブログ村 小説ブログへ
 

リンク

このブログをリンクに追加する   リンクフリーです

おきてがみ

FC2以外のブログからお越しの方、クリックで足跡が残せます。
「ことづて」は機能していませんので、ここにはコメントは残せません。

RSSリンクの表示

QRコード

QR

月別アーカイブ

フリーエリア