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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 3−9


「本人には了承を得た。 殿下を家で預かりたい」
 星来の話は 渡りに船だった。
 渡りに船ではあるんだけれど、なんかつまんない。
 面白くない……寂しい? のかなあ。
 二人が並ぶと、それはもう絵に描いたような美男美女で、
 文句のつけようが無いのが気に入らない。
 あれっ、これって、もしかしてヤキモチ……かなあ。
 だったら、たぶん初体験かも。
 ……どっち。
 …………私ってば、どっちに嫉妬したんだろう。

 二人の間で すでに話はついていたようで、
 特に反対する理由も無く、その日のうちに宿替えになった。
 母さんは がっかりした。
 帰宅した父さんも、火梛が出て行ったと知ると、
 あからさまに がっかりした。
 やっぱり これで良かったんだろう。

 翌日、大学に火梛は姿を見せなかった。
 心配になって、星来に尋ねると、
「殿下は 一人でお出かけになった」
 なんでもないことのように、あっさりと答える。
「ええーっ、大丈夫なのかなあ」
「うん、迷子札と地図と、余っていたもらい物の交通券を持たせた。
 念のために発信機も付けておいたから 大丈夫だろ」
 なるほど万全だ。
 それでも心配がなくならない。
 いつの間に こんな心配性になっていたんだろう。

「ユン、明日の夜は予定があるのか」
「無いよ」
「では 一緒に食事に行かないか。
 親父の知り合いに招待されているのだが、兄貴に急な出張が入った。
 婆さまも 風邪気味で行けない。
 取り消すのは もったいないから、ユンを誘ったらどうだ と親父が言っている。
 火梛も連れていこうと思っている」

「私が行っても良いのかなあ」
「気の置けない人の招待だ。 かまわん。
 世話をした御礼だというから、大きな顔でご馳走になればいい。
 飯綱(いづな)瑞祥庵 とかいう料亭だそうだ」
「聞いたことがある。 有名だよね」
「そうか、ウチでは行ったことが無い。
 生平(きびら)瑞祥庵は 老舗だから知っているが」
「飯綱って方も有名みたいよ。 雑誌に載っていた。
 行く、行く。
 あっ、正装しなくちゃ駄目かなあ」
「そんなことは無い。 普通でいい」


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