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ズボラなユン、やぶれかぶれ 3−5


 紆余曲折、寄り道だらけの補習授業を終えて帰ろうとすると、
 校門の前で 平題箭さんが待ち伏せしていた。
「戻れなかったのね」
 腕を組んだ平題箭さんが言う。

 『戻さなかった、もしくは戻りたがらなかった』
 だから、全然違うけど、
 誰に向かって言ったのか分からなかったので、黙っていた。
 他の二人も同じだろう。

「記事にはしない。 約束する。
 でもそのままじゃ困るでしょ。 私に任せてもらえないかしら。
 調査能力には自信があるし、一人前の社会人だし、
 伝(つて)も多いわ。
 もし戻れなくても、私なら生きて行く手助けができる。
 少なくとも 世間知らずの学生なんかより、よっぽど頼りになるわよ」
 自信満々の笑みで 火梛を見つめる。
 視線が熱いったらありゃしない。
 お主(ぬし)、不埒(ふらち)なことを考えてはいまいな。

「おまえの世話になる気は無い」
 火梛の返事は冷ややかだ。
「遠慮はいらないわ。 私だって乗りかかった船だもの。
 ここまで来て、『はい、さようなら』というわけにもいかない」

 私たち三人は、思わず押し黙った。
 火梛は消えなかった。
 沈黙した三人を眺めて、
 平題箭さんは 納得したと勘違いしたのかもしれない。
 にっこり笑った。

「己にはユンが居る。 ユンが居れば、それでいい」
 沈黙を破った火梛の言葉に、平題箭さんは引きつった。
「なにそれ!」
 本当に『なにそれ』だ。
 まるで愛の告白じゃない。 ……されたこと無いけど。
 火梛が言いたいのは、
 私が『さようなら』と言えば 戻れるから大丈夫、という意味だろう。
 でも、この台詞はちょっとドキドキする。

 平題箭さんは 口をパクパクさせていた。
 正真正銘の正統派美少女の星来には警戒していたかもしれないが、
 まさか 眼中にも無かった私に負けるとは、思ってもいなかっただろう。
 単に 認識が間違っているだけなんだけどね。
 まっ、いっか。

 混乱に陥っている平題箭さんを残し、私たちは家路についた。


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