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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 3−1


 達磨坂警部が 胡枇芸まで送ってくれるというので、
 一同は 再び空走車に乗り込んだ。

「手がかりどころか、謎が増えちゃったわね」
 加太和布先生も困り顔で ひとこと言ったきり、黙ってしまった。
 根掘り葉掘り聞き出しても、
 コメダワラと ボラボラ坊ちゃんと 烏帽子丸の何処にも接点が見つからない。
 仕事上はもちろん、個人的にも 出身地や生い立ちにも共通点はなかった。
 何故切り取られたコメダワラ作品の一部が、
 それもたった一枚、火事現場に在ったのかが全く不明だ。
 全部あったなら、
 ボラボラ坊ちゃんか その関係者が 犯人だということにしてしまえるけど、
 たった一枚では、そうもいかない。

 達磨坂警部も押し黙ったままだったから、
 小声で言った星来の呟きが、はっきり聞こえた。
「あの火事は、ユンを狙ったわけではなかったのだな」
 全員の目が、もの問いたげに星来に集まった。
「それは どういう事ですか」
 警部が勢い込んだ。
 私も聞きたい。

「いや、私の考えすぎだったようだ」
「だから、どんな風に考えすぎていたのかを言ってください」
 警部は 藁にもすがりたいのだろう。
「ある記者が……
 面倒だ、平題箭という女記者が、
 火梛殿下が消えるところを目撃したらしい。
 かなりの興味を覚えたらしく、ユンを付け回していた。
 ユンが話したから、殿下が現われた状況を知っている。
 呼び出す為に、
 ユンを 危険な目にあわせようとするのではないか と心配していたのだ。
 だが、コメダワラ事件が絡んでいたなら、あの火事は違う」

「どうして言い切れるのですか。
 その記者が どちらの事件も犯人かもしれない」
「それは無い。
 最初に会った時、
 コメダワラ事件に関しての記者会見が行われる前だった。
 彼女は、
 その時点で どんな被害だったのかを 本気で知らなかった。
 盗難事件とでも思ったのだろう。
 他の商品に被害はなかったのか とユンに聞いていた」
「そうですか」
 がっかりしているが、どうせ念のために調べるのだろう。

「ユン、来るぞ。 あの女」
 星来が ちらりと火梛を見た。
 そうだった。 面倒なことにならなければいいけど。

「キシャとは何だ」
「様々な情報を書き記して、大勢の人間に流布(るふ)する者です」
「如何(いか)な情報だ」
「有益なものと、無益なものと、迷惑なもの、
 およそ全ての情報を見境なく」
「イタツキという者も迷惑な情報を流すのか」
「はい、時には」
 星来と火梛だとちゃんと会話になるのが、
 ちょっと口惜しい。

「あっ、そうだ。 警部にお願いがあるんだけど」
「分かりました。 調べておきましょう。
 結果は 加太和布先生に連絡します」
 言わなくても 察してくれたみたいだ。
 行方不明者や病院を当ってくれるはずだ。



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