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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 2−13


 翌日、 鈴木愛は 再び戦線離脱したらしく、
 雑務に追われて忙しそうな加太和布教授に
 廊下で呼び止められた。

「虚維、 相変わらずひどい論文ね」
「駄目ですか」
「あんた、 理論武装が目的で ウチの科に来たんだって。
 無駄骨だったわ。
 何処の蔵から掘り出したんだろうと言いたいような 古臭い言い回しや、
 あっちこっちから適当に拾い集めたらしい用語を トンチンカンに並べて、
 いかにも それらしい雰囲気をでっち上げようとした努力は垣間見えるけどねえ。
 肝心の中身が スカよ。
 我慢して読んでみれば、
 あれこれ考えてみたけど よく分かりませんでした
 っていう事しか書いてないじゃないの。
 毎度おなじみの 進歩無しよ」
「すいません。 うすうす気づいてました」
「気が付いたら改善するのが 大人の分別ってものよ」
 ああ、 大人になれない私。

「ところで、 火梛君はどうなったの。
 また消えちゃった?」
 あれから 救急車に乗せられた鈴木愛に付き添ったり、
 動転していたボラボラ坊ちゃんを かいがいしく介護したりで、
 気になってはいたのだろうが 美青年どころではなかったようだ。
 彼の名前は 学生の誰かから聞いたのだろう。
 何しろ 大うけで、みんなに取り囲まれていたから。

「居ますよ」
「何処に」
「ここに」
 私の後ろに おとなしく突っ立っている男に、やっと気が付いた。

 はじめのうちこそ あれこれと質問攻めにしていたが、
 私が いい加減な説明しかしないことに気づいてからは、
 黙って 観察することにしたようだ。
 病人のくせに 飲み込みが早い。
 見物したいといって 付いてきたのだ。

 父さんの普段着を着せ、 長い髪は 弟の帽子で隠し、
 レンズが割れて 役に立たないのに、
 未練がましく取ってあった 父さんの黒縁眼鏡で 美貌をごまかした。
 こうでもしないと連れて歩けない。
 それでも 父さんと同じ服を着ているとは思えないほど 格好良い。

「あら、 連れ歩いてるの」
「大学校を見たいというので」
 もう一つ理由があった。
 家に置いておきたくない。


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コメント
2756: by LandM on 2015/01/09 at 23:07:27

論文の書き方って今でも難しいなあ。。。と思う。
結論がありきたりになっちゃうからなあ。。。
答えがカス。
私もそうですからね。
なかなか学問とは難しい。

2758:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2015/01/10 at 11:26:15 (コメント編集)

私は、好き勝手なことを書いて、珍説を披露してしまうので、
学校の論文テストなどは、おおむねどん底評価でした。あはっ。。
論文、向いてないのでしょうね。


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