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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 2−9


「この家で暮らすのは、 大変だね」
 誰かが 小声でぼそりと呟いた。

「そうなんだよね。
 だから 分かりやすい場所にある部屋しか使ってないんだ。
 新築祝いに 若い連中を呼んで 宴会をやったらさあ、
 勝手にうろついて 行方不明になるバカヤロウが続出してさあ。
 宴会どころじゃなくなったのよ。
 後半は 捜索隊を組んでの救出作戦に いそしむことになっちゃってさ。
 翌日までかかっちゃって もう大変。
 今日は、 俺も ほとんど未知との遭遇状態 ってか」
 多分ギャグではない。
 本気だ。
 その証拠に、 目が笑っていない。

「焦げ臭くない?」
「本当だ、 何か焦げてる」
「うわっ、 煙。
 焦げてるんじゃなくて、 燃えてるんじゃないの」
 口々に騒いでいるうちにも、 煙がどんどん濃くなっていく。
「火事だ!」
 誰かの叫び声に、 一同騒然となった。

「あわてなくて良い。 煙感知器が設置してあるから、
 自動消火散水機と警報機が作動して、
 警備会社に警報が行くことになってる。
 とにかく急いで ここを離れよう。
 えーと、 近道は…… こっちだ。 遅れんなよ」
 必死に図面を睨んで、 ボラボラ坊ちゃんが 近くの扉を開けて先導した。

 居間に戻ったが 警報機の音は聞こえない。
「あれっ?  自動消火散水機が作動している様子も無いな。
 どうなってんだ」

 ボラボラ坊ちゃんが 首を捻っている時、
「鈴木さんが居ません。
 措いてきちゃったんじゃないですか。 彼女抜けてるから」
 間貫君が 一人一人の顔を指差し確認しながら言った。
「警備会社に連絡してみる」

 ボラボラ坊ちゃんが電話をかけはじめたのを尻目に、
 私は 部屋の中を見回し、
 長椅子の背にかかっていた植物模様の布をひきはがして、
 流しに突っ込んで 濡らした。
 それをつかんで、 通ってきたばかりの扉に飛び込んだ。
「虚維さん、 やめて!」
「虚維、 危険だ」

 制止するみんなの声に混じって、
「ユン!」
 加太和布先生の声も聞こえた。
 もちろん 制止するつもりだったのだろうけど、
 何故か 却って火がついた。


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コメント
2706: by LandM on 2014/12/27 at 09:20:07

若干真面目な話ですが。
避難訓練は大切だと思いますね。
最近。そう思います。
いざの逃げ道を確保しとかないといけないって。
まあ、私の場合は私だけ逃げても仕方ないのですが。。。

2707:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2014/12/27 at 17:25:14 (コメント編集)

おっしゃる通りです。
泊まりがけの旅行先では、避難経路を確認しましょう。
増築して、迷路のようになっている旅館もありますからね。

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