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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 2−7


 人気お笑い芸人、ボラボラ坊ちゃんの大豪邸は 星来の家の近くに在った。
 ということは 慎ましい我が家にも案外近い。
 カラクリンでひと走りだ。

 鈴木愛助手は 復活して同行しているが、 デートを優先した欠席者が一人いて、
 白星屋の時と同じく 総勢十二人で見学することになった。

 豪邸は外観も独創的だ。
 明度も彩度も低い色で統一されているので、 全体に黒っぽい。
 そこかしこに 有機物を彷彿させる ゆがんだ曲線が多用され、
 絵本に出てくる 魔法使いのおばあさんが住んでいる家の 巨大版みたいだ。
 色は暗いが 全体の形が可愛らしくて、 ちょっと笑えないこともない。
 しかし、 これは個人住宅のはずだ。
 ここまでやってしまって良いのだろうか。
 何がしたい烏帽子丸。

 岩屋の入り口みたいな玄関にたどり着いて、 呆然と口を開けた十一人を尻目に、
 加太和布教授が 太い鎖を引くと、
 ピンポーンと明るい呼び鈴の音が 中から聞こえてきた。
 音は普通だ。
 みんな ほっとして、 詰めていた息を吐く。

「おう、 来やがったなバカヤロウ」
 お手伝いさんとかが出てくるのかと思っていたら、
 いきなり 主(あるじ)が扉を開けて出迎えた。

 広い玄関は 案外まともだった。
 案内されたのは 居間だった。
「悪いね、 この人数だと 客間よりこっちのほうが ゆったり出来るから」
 慣れた手つきで お茶まで入れてくれる。

「ボラちゃん、ただの学生なんだから気を使わなくていいわよ」
「いやさ、 案内するには 俺もちょっと覚悟を決めなきゃなんなくてさ。
 とりあえず、 お茶飲んでよ」
 主が 自ら案内してくれるつもりらしい。
 でも、 覚悟って何。

「忙しいのに 時間を割いてもらって ありがとね。
 家を見せてもらえるだけでよかったのに」
「水臭いこと言うなよ。 俺とカダメちゃんの仲じゃないの。
 今日 この家で暇なのは、 たまたま俺だけなんだ。
 かみさんと子どもらは旅行に行っちゃってさ。
 俺、 聞いてないっつうの。
 それで、 お手伝いさんにも休暇を出しちゃったらしいのよ。
 押しかけ弟子の 居候(いそうろう)にも、 やっと仕事が一つ入ってさ。
 ほんと 俺だけなの。 遠慮しなくていいからさ」
 とっても気さくなボラボラ坊ちゃん。
 でも、 覚悟って何。

「ところでボラちゃん、 覚悟って何。
 やっぱり 迷惑だったんじゃない?」
 おー、 それそれ。



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