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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 2−5


 約束しても 守るのが難しいことってある。
 災難は いつだって向こうからやってくるのだ。
 翌日、 ちょっとした事件発生。

「あんた暇そうね。 買い物に行ってくれる?」
 母から声がかかった。
 自室で 課題を片付けようと机に向かっていて、
 決して暇だったわけではない。
 しかし、 どんなに本人が忙しい思いで頑張っていても、
 傍目(はため)からは 暇そうにしか見えない
 というのが 私の重大な弱点らしい、 と最近気が付いた。
 損しているという気がしないでもないが、
 いつものことだし、 気分転換もいいかもしれない。

「いいよ。 ついでに お花を買っても良い?」
 手渡された財布に目を落して 聞いてみた。
「そうね、 可愛らしくて、 小さくて、 安いものなら良いわ。
 いつかみたいに 葱(ねぎ)坊主の親玉みたいなのを たくさん買ってきちゃ嫌よ。
 あれ 高くて家計に食い込んだんだから」
「ギガンチュウムっていうんだよ」
「名前も分かりやすいのが良いわね」
 これ以上余計なことを言って、 注文が増えてはたまらない。
「行ってきまーす」

 さっさと家を出て、 近くの大型複合店舗に行った。
 頼まれた買い物は 順調に任務完了して、 園芸品売り場のある屋上に向かう。
 久しぶりだったから、 のんびりとぶらつくことにした。
 昇降機(エレベーター)の前からすぐには 植木鉢の棚があった。
 近頃流行の変わった形のものも並んでいる。
 この手のものは ちょっと流行っては消えて行く。
 培養土と肥料の袋の先に 人工芝の庭敷きが積んであった。
 子どもの頃、 自分の部屋に敷きたいと駄々をこねたが
 却下された。

 移植には良い時期なので、 苗木も置いてある。
 その先が草花だ。
 生命科学で開発された、 ほぼ年中咲きっぱなしの花が 広い空間を占めている。
 万年百合、 七色スミレ、 いつでもチューリップ、 どこでも桜草、
 本当は もっともらしい名前が付いているようだが、
 覚えるのが面倒なので 勝手にそう呼んでいる。
 この辺は 母親の遺伝かもしれない。

 ゆっくり売り場を歩いていると、 目の端に 不審な動きが映った。
 既視感を覚える。

 屋上を囲む鉄柵に足をかけ、
 ジタバタと乗り越えようとしている男が居る。
 私だって他人が言うほどの馬鹿ではない。
 二度目の経験なら すぐに判る。
 星来に誓った。
 見ないふりをしよう。

 歩調を変えずに 花々に視線を集中し、
 全く気づかないふりで歩き続けた。
 やっと店員の一人が気づいた。
 時の流れが ゆっくりしたかのように見えた。
 店員の驚いた顔がゆがみ、 大きく口が開いて、
「きゃあーっ」
 と悲鳴が上がった時には、
 私は かなり近い場所まで たどり着いていた。


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コメント
2694: by LandM on 2014/12/17 at 21:26:39

予定通りいくのは難しく。
それを天命とも言うのかもしれませんが。
天災には逆らえないものです。

2695:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2014/12/18 at 10:06:44 (コメント編集)

何か起こってくれないと、ストーリーが動きませんしね(笑)
用心しても、順調にいかないのが人生です。なんちって♪

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