RSS

ずぼらなユン、やぶれかぶれ 2-2

 目当ての物を探しながら、 軽い興奮状態で 店内をぶらつき、
 様々な紙板が並んだ棚の前に 通りがかった。
「前から気になってたんだけど、 これって何に使うのかなあ」
 なんとはなしに聞いてみた。

 すると、 近くに居たおしゃべり店員が 勝手に説明を始める。
「立体模型を作るのに利用されています。
 主に 設計事務所のお客さんが多いですね。
 立体複写機を使うと 一部変更でも全部作り直さなくてはなりません。
 高くつきます。
 費用面ばかりではなく、 構想途中で変更が予想される場合は、
 手作業でやりたがる方も 案外多いです」

「ああ、 なるほど。
 私、 大学に入るまでは、 建築物がアートだっていう発想がなかったんだよね」
「確かに 職場や住居は 生活の為の必需品で、 機能性を求められることが多いが、
 宗教建築なんかは 完全にアートだな。
 この世ならぬものとの出会いを演出するわけだから。
 あとは、 記念建造物や 記念的な意味合いの強い公共建築物なんかも。
 しかし、 企業の心象を表現したり、 町並みの景観に影響を与えたりするから、
 一般建造物も アートとは決して無縁ではないだろう」

「うんうん、 意外に生活に密着したアートだったんだよね。
 今度見に行くらしい。
 設計大賞を取った建物。
 えーと、 エボ…… エボシマルなんとかの作品だって。
 人気お笑い芸人の ボラボラ坊っちゃんの大邸宅。
 先生の縁故で 特別に見せてもらえるらしいよ」
「烏帽子丸えぼしまる)木童(もくどう)だろ」

「烏帽子丸設計事務所さんは、 うちのお得意さまですよ」
 まだいたのか、 おしゃべり店員。
 あきれて首を回すと、 寡黙な店長が渋い顔をしている。
 ちらりと目が合ってしまった。
 渋い顔でも やっぱり二枚目だ。
 顧客情報の漏洩に怒っているのだろう。
 店員も気づいたのか、 あたふたと場所を移動した。

 綺麗な色紙に目を奪われたが、 そんなものに描ける腕は無い。
 私たちは 目当ての紙を手に入れた。
 私は 指示された枚数を、 星来は少し多めに。
「絶対に忘れてくる奴とか、 手に入れ損なったのが 何人かは居るはずだ。
 しかし 購買部に走っても物(ブツ)は無い」
「二割り増しで、 人助け?」
「その通り」
 おしゃべりをしながら無言堂を出た。

「星来のことだから、 もっと高級な紙を買うのかと思ったら、 普通のにしたんだ」
「さすがに私も初体験だからね。
 一度やってみないことには判断ができない。
 それより、 出たな」
「えーっ、 こんな真昼間に幽霊? 
 やだあ、 何処、何処」



戻る★★★次へ

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
2680: by LandM on 2014/12/11 at 20:27:55

確かに世の中アートであふれていて。
建築物もアートですよね。
そう考えるゆとりが大切ですよね。
街はある意味アートですから、
新鮮な感覚で見るといいですね。

2681:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2014/12/12 at 17:35:09 (コメント編集)

世界はアートなのです♪
美しいものはもちろん、醜いものも日々、私たちになにかしらを訴えかけているのです。
なんちってね。

ゆとり!
最近は忘れかけていたかも。

▼このエントリーにコメントを残す

   

プロフィール

しのぶもじずり

Author:しのぶもじずり
とりあえず女です。
コメントを頂けると、うれしいです。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

検索フォーム

いらっしゃ~い

らんきんぐ

よかったら押してね
 にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ にほんブログ村 小説ブログへ
 

リンク

このブログをリンクに追加する   リンクフリーです

おきてがみ

FC2以外のブログからお越しの方、クリックで足跡が残せます。
「ことづて」は機能していませんので、ここにはコメントは残せません。

RSSリンクの表示

QRコード

QR

月別アーカイブ

フリーエリア