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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 1-15

「お待たせしました。
 おや、 虚維さんていいましたか、 お嬢さんも ご一緒でしたか」
 達磨坂警部がやって来た。
 私の顔を見て、 続けて何か言いたそうにしたが、
 間をおかず、 もう一人が出現した。
「警察の方々ですか」
「はい、 私が達磨坂です。
 こちらが 捜査に協力を頂いている 胡枇の木芸術大学校の加太和布教授と
 優秀? なお弟子さんです」
 微妙な疑問形で紹介された。

「助手の 淤能碁呂(おのごろ)と申します。
 うちの五所川原教授は、 研究以外では全くの無能力者ですので、
 私が 案内と説明をさせてもらいます」
 うちの鈴木助手と違って、 よくある名前だ。
 どんな教授なんだろうと勝手に想像してみた。
 そういう人の肖像画なら 少しは面白いのだろうか。
 ちらりと歴代の学長たちに視線を走らせると、 目ざとい助手が自慢げに聞いてきた。
「どうですか。 この肖像画は」
「ものすごく立派な額縁で 感心しました。 すごいです」
「近頃これだけの額縁は めったに見ないわねえ。 本当にステキ」
 達磨坂が 苦虫を噛んだ顔をしている。
 顔色を翻訳すると、
(額縁だけ褒めて、 気を悪くさせたらどーするんですか) と言いたいに違いない。
 だが、 口を挟まないところを見ると、 彼も同意見なのはほぼ確定だ。

 達磨坂の心配をよそに、 淤能碁呂助手は
 ますます嬉しそうに 私たちを案内しながら、 自慢げに説明する。
「先々月、 困った学生が 玄関広間で乱暴な実験をして、 額縁を一枚壊したんですが、
 他の額に見劣りしないような 代わりのものを探すのが、 大変だったみたいです。
 専門家が出入りする専門店に 片っ端から問い合わせても、 なかなか見つからなくて、
 先旬になって やっと、 ある画材店で調達できたとか」

 おしゃべりしながら案内された研究棟の入り口を、
 助手は 個人認証札を使って開け、 招き入れた。
 通常は 部外者の立ち入りは禁止らしい。
 最先端の極秘研究なんかもあるのだという。
 次に 研究室の扉を掌認証で開ける。
「既に 警察には一度説明したように、 一応 警備体制は万全のはずなんですが、
 うちの先生は ここを開けっ放しにすることも度々でして。
 それでも 今までは、 こんなことは起こらなかったんですがね。
 あっ、 この辺に置いてありました」



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