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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 1-11

 騒ぎを聞きつけてきたのは、 たまたま近くを通りかかった鈴木助手だったが、
 おろおろするばかりで 頼りにならない。
 校庭でも気づいた人間がいて 騒ぎ始めたが、
 騒いでいるだけで やっぱり役に立ちそうに無い。
 ここは自力で 何とかするのが確実だろう。
 懸垂なんて久しぶりだが 要領は忘れていないはずだ。
 気合を入れて全身に力を込めた。

 件の男子が 助けようと思ったらしく、 私の右手首をつかむが、
 まだ混乱のただなかにいるようだ。
 力が中途半端な上、 やみくもに引っ張るだけで 当てに出来ない。
 かえって 利き腕を取られた私は動けなくなった。
「ちょっと邪魔よ。 手を放して」
「諦めちゃ駄目だ。 君が死んだら悲しむ人が きっとどこかに居る」
 ええい、 鬱陶しい。
 悲しんでくれる人なら 確実に居るわい。
 それより 邪魔なんだってば。 手を放せ。
 だが 男子はさらに変な方向に引っ張り、
 手首がねじれて 痛さのあまり右手が鉄柵から離れてしまった。
 と同時に 男子は手を離しやがった。

 さすがに 左手一本では苦しい。
 本気で悲鳴を上げた。
「誰かー、 助けてー」

 その時だった。
 おろおろと身を乗り出していた男子が 後に吹っ飛び、
 あの青年が 軽々と引き上げてくれたのだ。
 現実離れした美貌の若者は、 尻餅をついている男子を冷たい眼差しで睨んだ。
「これほどの高所から 女を突き落とそうなどとは 不埒千万。
 この場にて成敗いたす」
 すらりと剣を抜き放った。
 なんとも格好良いが、 冗談には見えない迫力だ。
 おまけに よく切れそうな鋭い剣だ。
 本物っぽい。

「ひーっ、 た、助けて。 死にたくないー」
 私としても、 目の前で首が刎ねられたら 寝覚めが悪い。
「止めてください。 成敗しなくて良いです」
「そなたを殺そうとしたのだぞ。
 不逞の輩を捨て置くわけにはいかぬ」
 ちらりと流した鋭い目つきが、 たまらず妖艶だが、
 どうも誤解があるようだ。
 そもそも、 こいつは何者だ。

「とにかく荒っぽいことは止めてください。 ややこしいことになると困ります」
「それでよいのか」
「よいのです。
 面倒だから消えてください。 さようなら」
 素直に、 文字通り、消・え・た。

 どさりと音がした。
 一連の出来事の衝撃から、 鈴木愛が 気絶して倒れた音だった。



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コメント
2656: by LandM on 2014/11/21 at 18:39:35

消える・・・というのは奇怪な。
確かにそれをあえて使うところが妙なのでしょうね。
今後が気になりますね。
\(゜ロ\)(/ロ゜)/

2657:はじめまして by 椿 on 2014/11/21 at 20:16:54

いつもお邪魔させていただいておりますが、コメントは初めてさせていただきます。

このお話、大好きで更新を楽しみにしております。
ユンちゃんがすごくいいですね。

彼女の周りで何が起きているんでしょう。
どうなっていくのか、次回も楽しみです。

2658:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2014/11/21 at 22:47:03 (コメント編集)

ファンタジーですから。一応ね。
突然現れたり、消えたりいたします。

2659:Re: はじめまして by しのぶもじずり on 2014/11/21 at 22:50:35 (コメント編集)

椿様 いらっしゃいませ。
ありがとうございます。
珍しく一人称で書きました。
ずぼらなユンを気にって頂けたようで、とっても嬉しいです。
がんばりまっす。

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