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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 1-8

 昨日 突然目の前に現われて 周囲に大混乱を起こし、
 あげく突然消えて、 助手の鈴木さんを気絶させた男だ。
 よく通る好みの声だったが、 この神出鬼没ぶりは 常識を完全に逸脱している。
 かかわりあいたくないが、 世渡り上手を目指す私としては、
 お礼を言うしかないだろう。
「ありがとうございました。 さようなら」
 …………………… 消えた。

 目撃者二人が固まった。
 こうなると、 加太和布先生は タヌキの置物以外の何者にも見えない。
 先生と同じく、 たっぷり一分間は息が止まっていた達磨坂も、
 息をふきかえして、 意味なく 赤いバラを口にくわえた。
 見なかったことにしたいらしい。
 そういう心の葛藤が 透けて見える。

 ドサリ。 派手に倒れる音がした。
 鈴木愛が気絶している。
 懸命に職場復帰を果たそうと、
 よろける足を踏みしめて 校門をくぐった途端の悲劇だった。
 断末魔のように、 ヒクリと震えて動かなくなったと同時に、
 女の人が駆け寄ってきた。

 長い髪を一つに纏め、 炭灰色の 色は地味だが体の線がくっきり分かる 洒落た服、
 化粧ばっちりで機敏に動く。
 見るからに やり手風だ。
 飛び出してきた方角を見ると、 青い空走車が止まっている。
 飛んでいる形の 白い鳥が描かれて、 模様になっていた。
 途中で追跡から離脱した一台だ。 先回りをしたらしい。
 加太和布先生の正体を知っていたのだろう。

 その女は、 屈みこんで 鈴木さんの様子を窺うと、 こちらを振り向いた。
「彼女 病気持ち?」
「精神以外は けっこう丈夫よ。 ただの気絶じゃないかしら」
 と、 加太和布教授。
「でも、 こんな場所に寝かせておくのは可哀想ね。
 運んだほうが よくないかしら」
「おっしゃるとおり 邪魔だわね。 虚維、 手伝いなさい」

 大の男が二人も居るのに私? 
 自分を指差して けげんな顔をした私の心中を察したように、
 改めて 先生が命令を下した。
「こんなにいい男が若い娘を介抱して、 誤解されたらいけないでしょ。
 やりなさい」
 命令に従うほかはなさそうだ。 鈴木さんに近寄る。



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コメント
2642: by LandM on 2014/11/16 at 14:26:00

精神以外は丈夫。
なかなかな言葉ですね。
確かにその辺はあれなのですが。
心が動かないと、身体は動かない。
それは確かですね。

2646:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2014/11/16 at 17:40:30 (コメント編集)

両方が丈夫だと万全でしょうが、
いろんな人がいますから、そういう人がいても良いのではないかと……。

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