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ずぼらなユン、やぶれかぶれ 1-3

 細身の長身を包むのは、
 仕立ての良さそうな シルバーがかった明るいグレイのスーツで、
 胸には 真っ赤なポケットチーフが覗いている。
 くせのある柔らかそうな髪が ふわりと揺れた。
 薄い色の入ったサングラスで 目の形は分かりにくいが、
 細く通った鼻筋と 薄い唇。
 警察車両から降りたからには 警察関係者なのだろうけど、
 絵に描いたようなキザ男くんだ。

 何者なんだろう。 ぼうっと見ていたら、 隣から怪しげな声があがった。
「あっらあ、 クリちゃんじゃないの、 久しぶり。
 相変わらずカッコつけまくりねえ。 ウッフン」
 げっ、 先生とお知り合い? 
 うっ、 ウッフンって何。
 声に気づいたキザ男が、 まっすぐにこちらに向かってきた。

「加太和布先生、 ちょうどよかった。
 コメダワラ画伯は、 昔、先生の教え子だったんですよね。
 捜査にご協力いただけませんか」
「クリちゃんの頼みなら断れないわね。 しょうがない、 休講よ。
 じゃあ、 ここで解散。
 みんなうろついてないで、 学校に戻って ちゃんと自習するのよ。 わかった」

 『休講』の言葉に素早く反応し、
 脅威の瞬発力で散っていく級友たちに 後れを取ってしまった私は、
 おもむろに立ち去ろうとした。
「まずは 現場を見ていただきましょう。
 助手の方も ご一緒にどうぞ」
「えっ?」
 持っていた出席簿と 人数分の入場券を見て、 クリちゃんは勘違いしたらしい。
 否定しようとあげかけた手に 教授のバッグを持たされた。
 むちゃくちゃ重い。
 いったい何を入れたら こんなに重くなるんだ。

「ほら、虚維。 行くわよ」
 助手から 鞄持ちに格下げのようだが、 ここは気にせず付いて行くことにした。
 どんな事件なのか興味が湧いた。
 テレビの中継車がやってきたところを見ると、 間違いなく大事件だ。
 見逃す手はない。
 警察以外は立ち入り禁止だろう事件現場を 見ることが出来そうだ。
 帰ったらニュース番組を総チェックせねば。
 いそいそと後に続いた。

 エレベーターで最上階に着いた。
 買い物に来た時とは 雰囲気が違う。 何でだろう。
 そうか、店内放送の音楽が無い。
 買い物客の 無計画なざわめきと、
 穏やかに応対する店員の 声の代わりに聞こえる
 捜査員の きびきびした言動から発する音の感じが、 いつもの店内とは異質なのだ。
 二人の後を追って入った会場を見て、 唖然とした。

「なんじゃこりゃ!」



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