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姫様爆走中 5

「……道か。 おまえが進んで行けるところが道だ」
 丙姫は きっぱりと言ってのけた。

「ちっ、 思想的な意味とか 哲学的な意味を聞いているんじゃない。
 そういうのは嫌いなんだ。
 具体的 かつ役に立つ答えが欲しいんで。
 さっさと教えてくれないかなあ」
 人を食ったような答えに業を煮やしたのか、
 男は、 隠したつもりの正体をさらけ出す。
 目つきを鋭くして、 居丈高な態度に出た。

「これ以上ないほど具体的な答えなのじゃがのう。
 城に連れて行ってやる。 ついて参れ」
 男は、 改めて丙姫を眺め、 勝手に納得してにやりと笑った。

 城に連れていくと言ったな。
 山の娘に見えないのは、 城勤めの人間なのだろう。
 まるで姫君のように良い物を着ている。
 良い物を着てはいるが、 本物の姫君ということはなさそうだ。
 眉毛が凛々しすぎる。
 端午の節句に飾る 金太郎人形のようだ。
 金太郎眉毛の姫君は いない。
 いや、 いて欲しくない。

 城勤めの娘が 良い身なりをしているということは、
 こんなド田舎でも 案外豊かな領主なのかもしれない。
 上手くいけば、 お宝の一つや二つは手に入れられるかもしれない。
 行きがけの駄賃に頂く というのも良いだろう。
 なあんて事を考えていた。
 凶悪犯に決定である。

 険しい斜面を なんなく進む丙姫であったが、
「おい、 ちょっと待て、 ここは道じゃないだろ。 ついて行けるか」
 山田屋太郎(偽名)は、 置いてきぼりを食って 吠えた。
 丙姫は 振り向いて ため息をつく。
「一番進みやすい経路を選んでやっておる。
 存外に なさけない奴じゃ」
「この先には ちゃんとした道に出るんだろうな」
「ここでは 進めるところが道じゃ。 人の話はよく聞くよーに。
 そんな事だから、 人の道にも外れるのじゃ」
 山田屋太郎(偽名)は、 言い返すほどの余裕もない。

「そこは滑りやすい。 もそっと右じゃ。
 ゆっくり進んでやるほどに、 しっかりとついて参れよ」
 丙姫は、 的確な指示で、 男を導いてやる。

 必死に後をついて行きながら、山田屋太郎(偽名)は、
 心中で悪態をつきまくっていた。
(くそ生意気な小娘だ。
 城に着いたら、どうせ御用済みだ。覚えてやがれ)
 まったく、どこからどう見ても、間違いなく兇悪犯である。

 そんなこんなで、険しい斜面を登ったり降りたりしながら、
 進んでいく二人であった。


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