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赤瑪瑙奇譚 第七章――3



(深窓の姫君で おっとりしているのかと思ったら、 こんな話も出来ちゃうのか。
 いやあ、 案外頼りになるなあ)

 などと思いながら カムライが ユキアを見つめていると、 メドリが 割り込んできた。
「私からも一つよろしいですか」

 駄目だという理由もないし、 弱みもあるので、 仕方なくうなずいた。
「小耳に挟んだのですが、 姫様とツクヨリ殿下が 相思相愛で、
 結婚するかも という噂が流れているらしいのですが」
「ええ――っ!  本当ですかっ、 そ、 そ、 相思相愛……、 まさか!」
 あまりの驚きように、 メドリのほうが驚いた。
 ユキアが すいっと詰め寄る。

「そんなわけ無いでしょ。
 助け出された時に、 一緒に馬に乗って 帰ってきたのを 見られてしまっただけです。
 町中を ゆっくりと進んでいましたから、 大勢の人たちに 見られてしまいました。
 殿下。 お城の庭で わたしに お聞きになられましたよね。
 国同士が決めた結婚は いやではないのかと。
 わたしも お聞きします。
 殿下は どうなのですか。 わたしがお嫌いですか。 結婚するのは お嫌ですか」

 無防備なところを突かれて、 真っ正直に 答えてしまった。
「困った事に、 嬉しいです。 だから困っているのです」
 カムライは 全身全霊、 おまけに 全力で困っていた。

 ユキアは、 いい流れだと思った。 今なら言える。 わたしがユンだ と告白できる。
「殿下、 実は……」

 その時、
「失礼します。 ユキア様に お客様がお見えです」
 迎賓館の使用人が来た。

「どなたが いらしたのかしら」
「ツクヨリ殿下です」
 カムライが凍りついたが、 ユキアは 平然と言った。
「お会いしたくありません。 お帰りいただいてください」

 使用人が下がっていった後、 メドリは ホジロの言葉を 思い出した。

「ホジロが、 早く 噂を何とかしないと、 お二人の結婚に ケチがつくと言っていました。
 弟君の想い人を 兄君が取った などと噂になれば、 結婚しないほうがましだと」
「確かに。 何か 手を打ちましょう。 ウガヤに 相談しておきます」

 カムライが出て行き、 ユキアは 告白しそこなった。


 しばらくして、 先ほどの使用人が 花を持ってきた。
 見事な白菊。
「これを姫君にと、 お預かり致しました」

 ツクヨリが 自ら改良した という菊だろうか。
 庭の案内を断って 帰ってきたユキアには、 はじめてみる花だった。
 普通より 丈の短い茎に、 ふっくらと咲いた花から、 上質の酒のように 芳しい匂いがした。
 酔ってしまいそうだった。

 それから三日間、 毎日 同じ白菊が届けられた。
 そして、 またもや 辻斬りが 一件起きた。


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コメント
211: by ポール・ブリッツ on 2012/06/27 at 16:58:22 (コメント編集)

姫様、早く印籠を(^^)

212:Re: ポール・ブリッツ様 by しのぶもじずり on 2012/06/27 at 18:04:38 (コメント編集)

あ~ら、印籠なんて持っていないわよ。
わたしが持っているのは、 あ・か・め・の・う   うふふ
(人格が変わってます)

213: by 園長 on 2012/06/27 at 18:38:59 (コメント編集)

全力で困っているカムライ殿下を
まじかで見てみたい(*^。^*)

214:Re: 園長様 by しのぶもじずり on 2012/06/27 at 19:09:11 (コメント編集)

運命に翻弄される 二股野郎です。

友人に ドS と言われました。
作中の男をいじめる癖があるのでしょうか。(本人に自覚はありません)

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