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姫様爆走中 2

「丙姫様の御歌は、 一曲でも多すぎます」
 どさくさに紛れて、 きっぱりと言ってのけたのは、
 誰あろう、 為五郎であった。

「何処から出てきた 為五郎!」
 忽然と現れたのは、
 年こそ少々いっているが、 渋い二枚目の男だった。
 惜しむらくは、 顔に表情というものが無い。
 欠落している。
 その顔で言われると、 たとえ お天気の話でも怖い。

「出てこなくていいのに」
 丙姫は 嫌そうな顔を隠さないが、 為五郎は無表情で問いかける。
剛手ごうしゅが見当たりません。
 丙姫様の御用というのは本当ですか」

「うん、間違いない。 演出じゃ。
 近頃あやつは、 南蛮渡来の 巨大な四弦琴を手に入れたと聞く。
 晴れの席で披露するよう 申しつけた。
 てはずは完了した」
「……」
 為五郎は無言で、 いずこともなく消えた。

 入れ替わるように、 もう一人 腰元がやって来た。
「ひめさまあ~ん。
 おめかしをなさるおつもりなら、 そろそろお支度を~」
「むむ、 おめかしとな。 それどころではないのじゃが。
 まっ、 銀次郎が手配は済んだ というなら、 だいじょぶであろう。
 小菊、 おめかしは てきとーでよいぞ。
 わらわなら、 頑張らなくても 十分イケル」
「そ、そうでしょうか。 いえ、 あ、はい」
 渋々頷いた後、 小菊は 不思議そうに首を傾げた。

「謎ですわ~。
 銀次郎様は、 若いおなごに可愛く頼み事をされても、
 たいてい すげなく断ってしまうのに、
 ひめさま~の御用には従うのですね~」
「うん、 いう事を聞かねば、 わらわの婿にするぞ と言ったら、
 すっ飛んで行った。
 恐れ入ったのであろう。 謙虚な奴じゃ」
 年老いた家来が、 控えめに唸った。

 そんなこんなで、 浮足立った城内であったが、
 にわかに 不穏な風が通り過ぎた。
「むむ、むむむむ、 良からぬことが起こったらしい。
 警護の者どもが ざわついておる」
 丙姫の言葉に、 家来が緊張した。
「確かめてまいります。 姫様は、どうぞお部屋に」

 丙姫の特技は 地獄耳。
 領内では知らぬものが無い 特殊能力である。
 丙姫が ざわついていると言うなら、 ざわついているのだ。
 間違いない。
 走るようにその場を後にした家来は 気づいていなかった。
 丙姫が 当然のように後を追った事を。


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コメント
2503: by LandM on 2014/09/20 at 14:33:25

下手なのですかね。。。
他人に嫌がられる歌って。。。
姫様は。まあ、これはほかの人もコメントしてますが。

2505:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2014/09/20 at 17:03:59 (コメント編集)

丙姫の歌については、後半で謎(?)が明らかになるのではないかと(笑)
某国民的アニメのゴリラっ子にも負けていないかも。

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