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赤瑪瑙奇譚 第七章――2



「お城の お茶会の日に……」
(そら来た。 あの手紙だ。 どう説明しよう)
 カムライは、 覚悟も決められないまま、 ユキアの言葉を待った。

「空き巣に入られましたの」

「えっ、 空き巣ですか。 取られた物は?」
 思わぬ話の展開に 、別の緊張が走った。

「殿下は、 ほとんど わたしをご覧になりませんでしたから、 覚えていらっしゃらないかもしれませんが、
 祝賀式典と 晩餐会で 身に着けていた 翠玉の首飾りが 盗まれました。
 他のものは 手付かずで残っていますので、 首飾りが 目的だったのだと思います」
 カムライは 覚えていなかった。

「首飾りだけが 盗まれたのですか」
「はい、 大変に失礼な事を申し上げますが、 晩餐会の席で、
 メギド公が 奇妙なくらい興味を示していらしたのが 気になっています」

「いえ、 失礼ではありません。 全然失礼ではありません。
 あの人は、 世の中に 宝玉など無ければ良いのに と言った人です。
 大勢の娘たちからせがまれて、 すっかり嫌になってしまったようだ。
 首飾りに 興味を持つ御仁ではない。 仰るとおり奇妙です」
 奇妙ではあるが、 理由が皆目分からない。 見当もつかなかった。

「事を荒立てないほうが良いと 黙っておりましたが、
 殿下にだけは 申し上げておこうと思いました」
「配慮して頂き、 感謝します。 申し訳ありませんでした。
 早速調べて探し出し、 取り返すよう算段しましょう」

 盗ったのが メギドにしろ、 ただの泥棒にしろ、 困った事をしてくれた というしかない。
 コクウの面子(めんつ)が 急降下している。

「はい、 あと、 言い難(にく)いことばかり申し上げるようですが、 お聞きしたいことがございます。
 辻斬りの件です」
 ユキアは、 ちっとも言い難そうではなかった。

「そういえば、 被害者を 最初に見つけられたのでしたね」
「はい、 観劇の帰り道で」
「では、 辻斬りが言った言葉というのも お聞きになった」
「はい」

 言い難いと言いながら、 まっすぐに聞いてくるユキアに、 困ったことだが、 ますます好感をもった。
 ユンのことを訊かれても、 言い逃れが できそうにも無い。

「戦(いくさ)の最中の事とはいえ、 ミノセは 一番慕っていた男を、 目の前で 無残な形で亡くしています。
 悲しみから立ち直っていません。
 あれは、 見かけは強そうに見えても 弱い。
 しかし、 己の弱さもまた 良く知っています。 そこが、 ある意味、 わたしより強い。
 変な説明ですが」

「いいえ、 なんとなく分かります」
「一見、 今のミノセは、 いかにも辻斬りをしそうに見えても、 実は 一番しそうに無い事だ と思っています。
 何かの間違いか、 あるいは……」

「陰謀……」


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コメント
201: by 十二月一日 晩冬 on 2012/06/24 at 18:57:18

自分もこんなテンポのある文章書いてみたいですね。憧れます・・・
リクエストの件、有難う御座いました!

202:Re: 十二月一日 晩冬様 by しのぶもじずり on 2012/06/24 at 20:01:55 (コメント編集)

いつもほめていただいて、テレます。

お題ミステリー、楽しみにしています。

209: by lime on 2012/06/26 at 08:31:14 (コメント編集)

けっこうカムライは、ユキア姫を気に入って来てるような気がしますね。
やっぱり浮気者?w
それともユンの魅力が、ユキアからにじみ出ちゃったのか。

まだ、ちゃんと登場していないミノセが気になりますね。
どんな人でしょう。

で、で、このあとファンタジーっぽくなるんですね?
なんとなく、歴史物感覚で読んでいたので、その展開も楽しみです^^

(追伸)
ブログ村も登録されたんですね♪ どのジャンルかな?
ジャンルごとのバナーを貼りつけると、自分の順位がぱっと見れて、いいですよ^^

210:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2012/06/26 at 11:31:05 (コメント編集)

> で、で、このあとファンタジーっぽくなるんですね?
> なんとなく、歴史物感覚で読んでいたので、その展開も楽しみです^
ちょいちょいファンタジー臭を入れたつもりだったんですけど、分かりにくかったですよねえ。

> ブログ村も登録されたんですね♪ どのジャンルかな?
> ジャンルごとのバナーを貼りつけると、自分の順位がぱっと見れて、いいですよ^^
ご指摘 ありがとうございます。貼り替えました。
分かりやすーい!

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