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私の文章修業 番外編2

<母国語>

 イスラエルは建国に当たって、公用語にヘブライ語とアラブ語を採用しました。
 ユダヤ人の国として作られた国ですが、
 一口にユダヤ人といっても、 遺伝子的には混血を繰り返しており、 見た目も様々です。
 ユダヤ教を信仰しているか、
 ユダヤ人の母親から生まれたのがユダヤ人 ということになっています。
 ヘブライ語は、
 書き言葉としてしか残っていなかった言語を復活させた、 極めてまれな例です。
 さすがに、 ユダヤ人。
 歴史的にも 世界各地で苦労してきただけのことはあります。
 したたかです。

 思考は 言語に制約される。
 文化も 言葉によって支えられている。
 そう思います。

 戦後、 日本語の危機があったらしいです。
 アメリカ人は、 日本語の漢字の多さが、 教育の障害になっていると考えたようです。
 ひらがなとカタカナがある上に、 漢字が多すぎる。
 ローマ字表記に変えようなどと、 とんでもないことを主張しました。
 そこで、吉田首相は、 当用漢字を決めて、 漢字を減らすことを発表しました。
 しかし、 GHQは承知しなかった。
 当時の新聞も、 ローマ字化に賛成する論調だったようです。

 そこで、 日米共同で、国語テストが行われました。
 全国から選んだ、15歳から64歳までの二万人を対象に 実施されました。
 多くは 新聞記事からの出題だったようです。
 田舎の爺さん婆さんから、 横町の悪ガキまで、
 配給台帳を基に、 様々な人がアトランダムに選ばれ、
 わけも解らず呼び出されたました。

 結果、 満点が 6.2パーセント。
 0点が 1.7パーセント、
 百点満点で 平均点が 78.3点でした。

 すごいです。
 0点ということは、 文盲が含まれると推定されますが、
 全員が文盲だったとしても、
 1.7パーセントは、 当時の世界からしたら 驚異の低さでしょう。
 はっきり言って、 アメリカ人よりも優秀だったんじゃないでしょうか。

 映画 「ドライビング・ミス・デイジー」の 出だし部分が ちょうど同じ年代です。
 映画を見る限り、 当時、アメリカ合衆国の黒人の多くが、
 読み書きできなかったように 描かれています。
 同じように、 アトランダムに被験者を選んで テストしていたら、
 合衆国は 惨敗していたんじゃないでしょうかね。

 予想外の高得点に困惑したのか、
 GHQの担当者が、 テスト結果を改竄しろ と要求したという話も伝わっています。
 日本側が拒否して、 ローマ字化は見送られました。

 結果いかんによっては、 日本語が危なかったのです。
 日本人自らの手で、 日本語を守りぬいたのです。
 めでたしめでたし、 です。

 言葉は生き物ですから、 もちろん外国語の影響をたくさん受けています。
 だけど、日本語がローマ字になっていたら、 同音異語がめちゃめちゃです。
 日本文化そのものが、 危なくなっていた可能性があるのではないか と思います。

 日本人である私からすると、
 たった26文字で、 世界のすべてを記そうとする方が、
 面倒な事になりそうな気がします。

 物ごとを解りやすくするためには、 分類したくもなるでしょう。
 分類する上で、 優劣を付けたり、 対立項を設定したくなろうというものです。
 ごちゃごちゃとしたものを、 ありのままに放置したら不便でしょうからね。
 何でもかんでも 整理整頓したくなるんだと思います。
 充分 長所になりうる特徴ではありますが、
 同じことが 短所にもなるはずです。


 ヨーロッパ言語のなんたるか を勉強することは大切です。
 しかし、 日常の生活を成り立たせている日本語を失うことは、
 とりもなおさず、 日本文化の根底を失う事と同じなのではないかと、
 とても心配になってしまうのです。



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コメント
2348:語彙が激減すると言葉は言葉として機能しなくなる by miss.key on 2014/08/01 at 18:44:04 (コメント編集)

 こんにちは。背筋が寒くなるような話でしたね。
 今ですら言葉狩りに辟易している私ですが、もしそんな事が実現していたら日本人は言語障害を起こしているところでしたな。漢字文化故に同音異語が多すぎる。ここにいる大勢の小説ブログを書いている人達も大半は存在していないんじゃないでしょうかね。芥川賞をとった平仮名ばかりのゴミ小説(あえて言わせてもらいます)みたいな文章なんて、とても読む気になれません。
 先人に感謝です。

PS:隣に自ら漢字を捨ててしまった民族が居ますが、日本語なら10ページで済む文章が20ページにも30ページにも膨れ上がってしまうそうです。しかも、殆ど正確に伝わらないとか。お陰で理論的な考え方が出来て無い様です。くわばらくわばら。

2349:Re: 語彙が激減すると言葉は言葉として機能しなくなる by しのぶもじずり on 2014/08/01 at 20:19:27 (コメント編集)

miss.key様 こんにちは
ほんとにねえ、怖いですねえ。
ローマ字だと、横書きしか出来ないじゃないですか。
源氏物語や枕草子を、横書きのローマ字で読みたくねえ~ぞ!!!
書道の草書や行書も消えるよね。

国語テストを受けた方々に、心の底から感謝です。

2350: by LandM on 2014/08/02 at 09:50:11

日本語は確かに難しい。。。
( 一一)

しかし、日本語も結構日々変化してますからね。自然に変化するものはともかく、外圧をかけるとろくなことにならない、、というのは過去の歴史が証明しているような気がしますけどね。

2351:はじめまして by CFマスター on 2014/08/02 at 12:06:07 (コメント編集)

初コメさせていただきます。

戦後、日本語の危機があったとは初耳でした。
情報ありがとうございます。

今回の記事、わたしもかなり同感です。
言葉は文化そのものですからね。
今後も大切にしたいですね。

2352:おはようございます by ☆バーソ☆ on 2014/08/02 at 14:26:47 (コメント編集)

>日本語がローマ字になっていたら

ああ、嗚呼、考えるだに、怖ろしや 恐ろしや オソロしやです。
もしローマ字だったら、微妙なニュアンスの違いは出ないし、
読みにくいし、過去の文学遺産が全部《無》になってしまい、
むむむむーっ、と唸りたくなります。
(ここ、ムムムムーでもつまらないし、MUMUMUMUMUーじゃ情けなし)。

「当用漢字」というのは、《当座の漢字》という意味で、
いずれ漢字は全廃したほうがいいが、それまでの間、
暫定措置として、しばらくの間はこの漢字だけは認めてやろう
とされて決まったのが「当用漢字」なんだそうですね。
当時、ローマ字に賛成した著名な作家もいたそうで、驚きます。

2353:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2014/08/02 at 15:20:35 (コメント編集)

日本語の難しさは、漢字のせいではないと思います。
むしろ、漢字のおかげで分かりやすくなっているのかもしれません。

人間は、とかく自分の尺度でしか他を計れないものですから、
アメリカ人の気持ちも分からんわけではありませんが、
短絡思考であることは間違いないように思います。

2354:Re: はじめまして by しのぶもじずり on 2014/08/02 at 15:29:29 (コメント編集)

CFマスター様、いらっしゃいませ。

私も、どこかでうっすらと聞いたことはあったのですが、
実は「NHKスペシャル」で詳しくやったのですよ。
受け売りです。

日々日本語を書いている身としては、ローマ字にならなくて本当に良かったと思っています。
そんな事をするくらいなら、外国語を習った方がましかもしれません。
コメントをありがとうございます。

2355:Re: おはようございます by しのぶもじずり on 2014/08/02 at 16:03:38 (コメント編集)

☆パーソ☆様、いらっしゃいませ。

日本語をやめて、フランス語にしようといった人もいたらしいですね。
ローマ字になっていたら、漢字検定ブームもなかった(笑)
今の子どもたちの キラキラネームもなかった(笑)
アルファベットだけじゃ、色々と面白くないです。

2358: by 銀狐 on 2014/08/03 at 00:49:02

へぇ、こういうエピソードは初耳でした。
面白かったです♪
ちょっと感動的でもありますね笑

2359:Re: 銀狐様 by しのぶもじずり on 2014/08/03 at 10:51:57 (コメント編集)

いらっしゃいませ。
漢字は、文字であると同時に、一つ一つがシンボルマークみたいに意味を持っています。
面白いです。もしも、無くなってしまったら、武田鉄矢も困るでしょう(笑)
ローマ字では情緒というものがありません。

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