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赤瑪瑙奇譚 第六章――9



 カムライ、 ウガヤと、 カムライの腹心の部下である兵士たちだった。
 ウガヤが 地図を見せて、 指示を確認する。

「地下室のあった家は、 印をつけたところだ。
 気づかれないように、 出入りの形跡が無いかを調べて報告しろ。
 たとえ見つけても、 くれぐれも勝手に突入はするな。
 犯人を捕まえるより、 姫の安全が第一だ。 行け」

 兵士たちは頷いて、 静かに散っていった。

「殿下、 昨夜は 何処にいらしたのですか」
「うん、 屋敷のいくつかに 家宅侵入してみた。
 時間がかかってしまったが、 居なかったし、 不審な様子も無かった。
 あれから城下を出る者は、 さらに厳重に検閲させているし、 配下の調査は ことごとく空振りだった。
 残るのは この辺りしかない」

 それを聞きながら、 メドリは やっと疑問に思い至った。
 ユキアとツクヨリは どうやって あの場所に たどり着いたのだろうか。

 メドリを心配して 無鉄砲になっていた ユキアはともかく、
 たった二人で来た ツクヨリは、 犯人たちの様子を 知っていたのだろうか。
 状況によっては、 人質に 危険が及んでいたかもしれない とは考えなかったのだろうか。
 次々と疑問が湧いてくる。

 焼けて脆くなっていた床板が、 ミシリと音を立てた。

「誰か いるのか!」
 気づかれた。

 仕方なく姿を現したメドリは、 声質を低く真似て、 二人に告げた。
「姫様は、 ツクヨリ殿下が 救い出しました。 今頃は 無事に戻られる途中です」
 言い終えるや、 身を翻して 逃げた。
 これ以上は もたない。

 見送ったウガヤが 言った。
「あれが ユン殿ですか」
「いいや、 違う」

「覆面しているのに、 どう見分けているのですか」
「姿を見ても、 声を聞いても、 似ているけど ドキドキしないのだ。 だから違う」

 ウガヤは思った。 やれやれ、 思ったよりも重症だ。

 兵士の一人が 走ってきた。
「殿下、 血の匂いがします」


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コメント
191: by lime on 2012/06/21 at 19:51:15 (コメント編集)

展開が激しくなって、さらに面白くなってきましたね。

気になるのはツクヨリですが。
でも、悪い人には思えない・・・。

まあ、私の勘が当たったことはないのですが。
ツクヨリが何かを企んでいるのかどうか・・・。
続きを楽しみにしています。

192: by 十二月一日 晩冬 on 2012/06/21 at 21:31:46

何ともいやはや・・・こりゃ、続きが気になってしょうがない
危機一髪で済むのか否か
待ち遠しい限りです

193:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2012/06/22 at 00:17:14 (コメント編集)

そう言っていただけると、自信が出てきます。
たくさんの方に訪問して頂いているので、楽しんで頂いているのかと、時々心配になるのです。

だいぶ長くなってきましたが、頑張ります。

194:Re: 十二月一日 晩冬様 by しのぶもじずり on 2012/06/22 at 00:27:21 (コメント編集)

続きを気にして頂けると、張り合いが出ます。
ご期待に添えるようがんばりま-す。

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