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赤瑪瑙奇譚 第六章――5



「ねえ、 わたしを さらって隠すとしたら、 何処がいいかしら」
「ふえ~、 今度は 何をやらかすつもりなんだ」

 部屋に忍び込んで、 人目がないのを確認して 言い出したユキアに、 ホジロはあきれ返った。

 メドリが誘拐された経緯を 全部説明すると、
 しばらく考え込んだホジロは、 確かめるように 話し出した。

「連れて行かれたのは 夕方なんだね。 それなら まだ城下だと思う。
 今日の昼までなら 町の外に出てしまえば、 何処にでも行けたけど、
 辻斬りが出たからだろう。 警備が厳重になった。
 特に 夕方からは 城下の出入り口には 警邏の役人が見張っている。
 日が暮れてから町を出る 大きな荷物や 人は目立つし、 怪しまれるはずだから、 出ていないと思う。
 町の中に 生きた人間を 隠しておくとすると、 大きな屋敷かなあ。 小さな家では 無理だろう。
 でもそれだと、 ばれた時に 屋敷の持ち主は 言い逃れが出来ないから 怖いよね。
 んー、 どこだろう。
 殿下の事件がなければ、 あの町外れの小屋なんか 最適だけどね」

「あの小屋は 焼けたわ。 今日 見てきたの」
「そうなんだ。 あの辺て、 誰もいなかっただろう。 幽霊が出る という噂があるんだ。
 近頃じゃ 近寄る人も いないらしい。
 それもあって、 取り壊しが遅れているんだってよ。
 幽霊が出るんじゃ、 新しく家を建てても 住めないからって」

「あの小屋以外に隠せるような場所があれば、 本当にぴったりね」
「でも、 まともな建物は 一軒もなかったよ」
 ホジロは 自信ありげに 断言した。

「地下室は?  地上の部分は焼けても、 地下だけ 残っている所は ないかしら。
 例えば、 貯蔵庫とか、 甘酒作りの室(むろ)とか、 独活(ウド)や茸の栽培とかの……」
 しばらく考えて 出てきた案に、 ホジロは 目をぱちくりさせた。

「お姫様の癖に、 変なことを知ってるんだね」
「本で読んだの。 確かめてくる」

 出て行こうとしたユキアを、 ホジロが止めた。
「今夜は 闇夜だ。 曇っていて 月明かりが無い。
 もしあそこに行っても、 明かりを持ってうろつけば、 こっちが見つかってしまうよ。
 落ち着いて。 メドリは しっかりしている。
 夜が明けてくるまで 待ったほうが良いと思う」

 町外れに放置された 広い土地が もったいない。
 有効活用できないか とほっつき歩いていたホジロは、 焼け跡一帯の地図を 描き留めていていた。

 その途中で、 迷子になったイヒカに 出会ったのだ。

「地下室があるとしたら、 ある程度大きな家のあった場所だよね。
 このあたりは 小さな長屋だったみたいだから 外していいと思う。
 可能性としては、 この辺かな。 あと、 もしかしたらここ」

 地図を見ながら、 範囲を絞った。


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