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まだまだ (3)

 うちのクラスは、 男女が隣同士になるように席が決められる。
 だから 両隣りは男子だ。
 右は、 狆みたいな顔の眼鏡男子 田中君だ。
 アホだ。
 狆ならペロペロするだろうが、 田中君は 一応これでも人間だ。

 左は、 ガタイの良い水野君だ。
 砲丸投げで 県大会の二位になったらしい。
 いかにも砲丸投げをしそうな体型だ。
 こいつらも、 いずれは ペロペロするようになるのだろうか。
 想像できない。

「あれっ、 消しゴムが無い。
 やだあ、 落としたのかなあ。 忘れたのかなあ」
 鞄の中を くまなく探したが無い。
 困った。 次は数学だ。 小テストがある。
 数学教師の清水は、 小テスト好きだ。
 迷惑だけど、 ちょいちょいやる。

「ほれ」
 水野君が、 自分の消しゴムを カッターで半分にして渡してくれた。
 良いやつだ。
 そんなことがあったからだろうか、 つい 余計な事を言ってしまった。
 我ながら、 考えなしだった。

 放課後に、 窓から部活に励む校庭を ぼんやり眺めていた時だ。
「あっ、 やってるやってる。 頑張ってるね」
 隣に、 鈴木雪乃が来て、 校庭に手を振っている。
 校庭の運動部員たちのリアクションは、 特にない。
 教室は 三階にある。
 なんとなく、 鈴木と並んで校庭を見降ろすことになった。

 すると、 練習していた野球部員の中の一人が、 荷物を置いてある場所に走って行き、
 きょろきょろしたかと思うと、 顔を上げてこっちを見た。
「おっ、 雪乃、 わりい、 俺の机んとこにタオルが無いか見てくれよ。
 あったら放ってくれ」
 ラッキーとばかりに ニコニコする野球部員は、 エースで四番、
 人気者だとは知っていたが、 爽やかな笑顔は なかなかだ。
 ルックスも良い。 人気があるはずだ。
 奴は 隣のクラスのはずだ。

「わかった。 見てくるから待ってて」
 鈴木雪乃は走って行き、 隣りの教室の窓から タオルをひらひらさせた。
「あったよー。 落とすー?」
「ばーか、 ひらひらさせんな。 飛んでくだろ。 丸めて落とせ」
 鈴木は、 一所懸命丸めて落としたが、 途中からほどけて、 風に流れた。
 さすがはエースの四番だ。 飛び付いてキャッチした。
「サンキュー」
 ごしごしと顔を拭きながら、 練習に戻って行く。

 鈴木は 隣に戻って来た。
「仲が良いんだね」
 言うと、
「うん、 家が隣なの」
 鈴木は、 楽しそうに答えた。
「そっか、 良い環境だね。 うちの近所は ジジババばっかりだわ。
 そういえば、 あいつ、 双子だと聞いた気がするけど、
 似てる子を見たことが無いんだよね。 ガセ?」
「双子だよ。 片割れは女子。 ぜーんぜん似てないよ。 不細工なチビ。
 テヘ、 こんなこと言ったら どやされる。
 ……ねえ、 気になる?  だったら紹介しようか。」
「やー、 そんなんじゃないから。
 双子の知り合いって居ないからさあ、 面白そうだなって」
 あわてて 掌をひらひらと振った。

「あたしは ただのお隣さんだから、 気にしなくてもいいよ」
 誤解されている。
「ほーんと、 そういうんじゃないから」
 あわてた。
 なにしろ、 あいつはエースで四番だ。
 うちのクラスでも、 人気は絶大だ。
 下手に手を出したら、 暗殺されるかもしれない。

「じゃあさ、 好きな男の子とかいるの?」
「まあ、 しいて言えば、 水野君かな」
 誤解は解かねばならない。




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コメント
1852: by 困 on 2013/12/25 at 01:33:29

こんばんは

冒頭のペロペロ笑ってしまいました^^
田中君の扱いが・・・w

続きも楽しみにしております

1853: by lime on 2013/12/25 at 09:41:31 (コメント編集)

ちょっとえっちな思春期の話も、この教室のやりとりも、可愛いですね。
どこに話が行くのか、楽しみにしています。

犬って本当に、必死でペロペロしてきますね。
うちのわんこも、必死。
化粧が崩れるから毎回「舐めない!」と注意するんですが、専門書によると、あれは犬がとっても傷つくらしいですね(笑)
でも、やっぱり困るんだなあ・・・。

1854:Re: 困様 by しのぶもじずり on 2013/12/25 at 17:35:19 (コメント編集)

いらっしゃいませ。

田中君ゴメン。
笑ってもらったから良いよね♪
ということで、ありがとうございます。

あと一回で終わりです。

1855:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2013/12/25 at 17:42:07 (コメント編集)

すいません。あっさり終わっちゃいます。
年末ですし、って違うか。

化粧品は 肌に付けるものだから、毒って事はないでしょうけど、
あんなに舐めちゃって大丈夫かな、と心配になります。
この子たちは、化粧するほどませていないので、
マサユキとポチは平気です!
思う存分に舐めてもらいましょう。

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