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赤瑪瑙奇譚 第五章――5



 突然、 後ろから頭をたたかれたイヒカは、 飛び上がりそうになって驚いた。
 振り向くと、 ホジロが のんきな顔で 立っていた。
「よお、 元気……」

 ホジロの口を あわてて塞いで 小屋から離れると、 訳がわからないまま、 見たことを 全部話して 相談した。
「ホジロさん、 どうなってるのか まるで分からないけど、 いやな感じなんだ」

「確かに、 いやな感じ満載だ。 ユンに知らせなきゃ。 イヒカ、 迎賓館まで走れ!」

「ごめん。 俺、 大鍋を背負って歩いてきたから、 もう限界だ。 それに 道が皆目分からない」
「分かった。 僕が行くよ。 焼け跡に隠れて 見張ってて」
 結局 ホジロが知らせに行って 正解だったのだろう。
 イヒカはメドリを知らないし、 迎賓館も追い出されていたに違いない。



 手紙の差出人は、 『ユン』となっていた。
 結婚したら もう会えないから、 最後に どうしても 一度会いたい という内容だ。
 上手くはない字で書かれた、 切ない恋文に、 どうしようもなく 違和感がある。
 罠かもしれない と思った。
 だが、 ユンに悪い事が起こっている可能性も 否定できない以上、 放って置くわけにも いかなかった。
 カムライは 用心して出かけた。

 手紙にあった小屋は、 長く見放されていたような 小さなあばら家だ。
 物陰に潜む気配があったが 、おそらく一人。
 いつでも剣を抜けるように、 油断無く踏み入った。
 閉じ込められても、 あの扉ならば 蹴り破るのも簡単だ。
 しかし、 何も無かった。
 気配すらない。

 数歩進んだところで、 床が消えた。
「痛い、 それより悔しい。 同じ手に引っかかった。 くそっ!」

 今度は 独りだったが、 さすがに 二度目だけあって 落ち着いていた。
 それに、 こちらは ほんの少しだが、 どこかに 隙間があるようだった。
 しばらくして 目が慣れてくると、 ほんのりとした明るさがあった。

 短刀を壁に突き刺して 目印にし、 上から下まで探った。
 案外に狭かったが、 正真正銘 出口が無い。
 掘った人間が律儀なのか、 小屋に合わせて 方形に近い形のようだ。
 四箇所、 角度が狭くなった場所がある。
 そこの両側の壁の所々を 短刀で削って 凹みを作り、 足がかりにして よじ登ろうと試みた。

 闇の中での作業は、 困難を極めた。 時間が かかりすぎる。
 無理かもしれない。


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by まとめwoネタ速neo on 2012/06/09 at 00:46:50

 突然、 後ろから頭をたたかれたイヒカは、 飛び上がりそうになって驚いた。 振り向くと、 ホジロが のんきな顔で 立っていた。「よお、 元気……」 ホジロの口を あわてて塞いで

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