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薬種狩り 十五の5

《岩をつないだ線の内側だけに 霊気が渦巻いておる。
 あふれ出ないから、 あんなにも 霊気が濃いのじゃろう》
 八福を無視して、 天狗が続ける。

「そうだ、 森番、
 森で消えてしまった人間が 何人くらいいるのか、 教えて欲しいのだが」
 玲が思い出して尋ねた。
 それくらいは役に立つのだろう。

「なーんにん、 数えない。
 んー、 んー、 バオバの木がー知ってる」
「困ったな。 僕たちは どうやってバオバに聞けばいい。
 あいつは しゃべれるのか」
「木はー、 しゃべらない。 あんたはバーカ?」
 八福に気の毒そうな顔をされ、 玲は本気で むっとした。

「ふんふんふん………… あっ、 見ーせーる。
 拾った。 見―せーる」
 八福は のそのそと小屋に入ってしまった。
 出てこない。
 三人は 遠慮なく小屋に入った。

 中は 物が多いというわけでもないのに、 何かしら雑然としている。
 まとめれば場所を取らないだろうに、
 一つ一つバラバラに、 しかも 首をひねりたくなるような所に置いてあったが、
 放り出してあるようにも見えない。
 どこか 八福のこだわりが感じられた。

「何を見せてくれるのだ?」
 玲が聞くと、 八福は それを待っていたらしく、
 隅に置いてある 古びた葛篭つづらを開けた。
 中には ボロボロの衣類と 手荷物らしきものが入っている。
 引っ張り出して 並べてみれば、 衣類は、 大きさもまちまちな男物が三人分。
 肌着や下穿したばきまであった。

「何だ、 これ」
 と言えば、 悲しそうに 八福が語り出す。
「バオバの木の下に 捨ててあったんだな。
 もちぬしは、 はだかんぼうで かわいそうなんだな。
 おーさんぽ、 おーさんぽ、 うれしいな」

 支離滅裂な話から 意味を拾い集め、 めいっぱい推理を働かせてみた。
 気が向けば、 八福は 森の周囲を歩き回るらしい。
 バオバの近くまで 細いけもの道があって、
 時に 衣類や手荷物が落ちている事があり、 それを拾って葛篭に入れてあったらしい。

 無事に戻った人間が丸裸だったら、 あのおしゃべりな番頭が言わないはずが無い。
 おそらく、 森で消えてしまった人間の物なのだろうと思われた。
 八福が森番になってから、 少なくとも三人が消えたという事だ。




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