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薬種狩り 十三の7

 玲を探す必要が無く、 穂田里が迷子になるのを気にしなければ、
 一度通った土地である。
 塩の洞窟まで一日もあれば着いた。

 四日後の夕暮れ時には、 米斗亥を連れて さかな村に戻ってきた。
 二人が無理やり架けた一本橋は 撤去されている。
 村の入り口にある橋の所で、 衣都は 迷子鈴を鳴らした。

 しばらく待っていると、
 大勢の見物人を引き連れて、 玲が 急ぐ風でもなく出てきた。

「思いっきり吹っ飛ばして良いんだら」
 長い影を従えて 裂け目の前に立つ米斗亥が、 にやりと唇の端を上げた。
 夕日を浴びた癖のある巻き毛が 燃え立つように赤い。

「そうじゃない」
 裂け目を挟んで、 玲が 平然と異を唱えた。
「話が違うだら」
 気色ばんだ米斗亥は、 玲を睨む。
「きれいに穴を開けて欲しい。
 名人なら できると思ったが、 無理だったか」
「わいを舐めてるだか。 誰が無理だと言った。 やって見せるだら」
 まんまと乗せられた米斗亥であった。

 こわごわ覗きに来ていた村人に向かって、
 玲は 「橋を下ろしなさい」と命じた。
 勅使様には逆らえない。
 譲り合って 押しだされた何人かが、 作業に取り掛かった。
 橋が架かると、 さっと飛び退くように 見物人の中に戻った。

 肩をいからせた米斗亥が ゆっくりと橋を渡る。
 本人は 緊張しているのだが、
 はた目からは、 周囲を威嚇いかくしているようにしか見えない。
 一歩進むごとに、 見物の村人たちが ザザッと後ろに下がった。

 途中に、 動かなかった為取り残された女が一人、 目を丸くして立っていた。
 海太郎の母である。
「あらまあ、 はじめまして。 なんだか すごいわ。
 あのー、 つかぬ事をおたずねしますが、
 つのは 真っ赤なもじゃもじゃ頭の中…… うわあ、 何するのよ。
 ちょっと聞いてみただけじゃない。
 みんなは気にならないの?  んぐっ、 んんん」
 数人のおばさんたちに引き戻され、
 納得のいかない顔で 文句を言い続けようとした口を封じられた。

「ツノって 何の事だら?」
「ちょっとした勘違いだ。 気にしなくていい。
 明日 さっそく見に行ってくれるか。 硬い岩盤らしい。
 砕いて 地下の通路を貫通させてくれ、 君にしかできない」

「おお」 



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