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薬種狩り 七の4

「ん?  三人?」
 指を折って、 首をかしげる明日妥流をそのままに、
 どっかと腰をおろして くつろいだ穂田里は、
 押希里が台所に引っこんでも 明日妥流にひっついて 離れようとしない子供たちに向かって、
 陽気に自己紹介を始めた。

「俺らは ヘンな奴ではないぞ。 薬草を探して旅をしているんだ。
 たくましくてカッコイイ俺が 穂田里だ。
 で、 きれいなこいつが玲。 態度は偉そうだが、 害は無い。
 こっちの ちっこくて可愛いのが 衣都だ。 どーだ、 可愛いだろ」
 自慢げに言って、 衣都の頭を撫でた。

「穂田里、 衣都を撫でまわすのは止めろ。 迷惑だ」
 玲が 衣都に変わって抗議した。
「そーか、 そーなのか? 
 可愛いから つい手が伸びちゃうんだよなー。
 でも、 なんで 玲が文句を言うんだ。
 いっちゃんは 本当に迷惑なのか?」
「迷惑」

「ほーら見ろ。
 衣都は 僕のお気に入りだ。 なれなれしく触るな」
「それを言うなら、 俺にとっても いっちゃんはお気に入りだ。
 たくましいし、 頼りになるし、 近頃ますますお気に入りだ。
 玲の一人占めにはさせないぞ」
 初めて訪問したよその家で、 言い争いを始めた二人であった。
 間に挟まった衣都が 怒ったように頬を赤らめるのを、 姉弟が笑いをこらえて見ていた。

「飯ができただら」
 押希里の声で あっけなく休戦になり、 食事をする事になった。
「これを食べてみれ、 美味しいよ」
 姉の柚希里が 小さな声で 衣都にさりげなく言った。
 衣都が素直に従って、 「美味い」と言うと 安心したようにくすっと笑う。
 摩周が、 負けじとばかりに 別な料理を勧める。

「ちっこいの、 こっちも食べれ」
 言っている本人の方が よっぽど小さいが、
 これにも 素直に「美味い」と答えれば、 大いに気を良くした様子だ。
 衣都の髪は、 旅の暮らしが長かったせいで 日に焼けて赤茶けている。
 そこに親近感を持ったようだ。
 他の二人には まだ話しかける勇気がないらしい。

「ごちそうさまでした。
 噂じゃ 追い返されるって聞いていたから、
 こんなに歓迎されるとは思っていなかった」
「噂?」
 穂田里の言葉を 明日妥流が訊き咎めて、 鋭く問い返した。



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