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薬種狩り 六の8

「そうだ! 
 天狗苺っていうくらいなんだから、 天ちゃんが何とかできないのか? 
 ちょちょいと生やすとか出来たら、 俺たち 楽できるんだけど」
 穂田里が 衣都の肩でくつろいでいでいる天狗に話しかける。

《天狗森に生えとったから 天狗苺という名が付いただけじゃ。
 わしが作った訳ではない。
 そんな事が出来るくらいなら、 わざわざ旅に出る必要は無いわい。
 あれは 霊力のある場所にしか生えんのじゃ》

 それを聞いた穂田里の目が輝いた。
「ちょっと待て。
 じゃあ何か、 霊力のある場所を探せば良いってことだな」
《そういう事じゃ》

「なんだかしらないが、 本当に天狗が居るのなら、
 霊力を感知するのはお手の物だろ。 やってもらえ」
 からかうように 玲がうそぶく。
《まあな、 お手の物じゃ》
 不思議に会話が成立した。

「それなら教えてくれ。
 どうして今まで 何も言わなかったんだ。 いっちゃんのお友達だろ」
《訊かれなかったからのう》
「根性悪!」
《どうしようかな。 教えるの止めようかなあ》
「悪かった。 謝るから機嫌を直せ。
 ごめんごめん、 つい 思った事が口から出ちゃって」
 見えても聞こえてもいない玲は当然だが、
 衣都までもが 穂田里と天狗のやりとりを 吃驚したように見ていた。
「訊けばよかったんだ」 と 小さく呟く。
 他の二人は気付かなくても、 肩にいる天狗には丸聞こえだ。
 威勢良く返事をする。
《衣都に可愛くお願いされたら、 教えんでもない。
 否、 きっと教えてしまう》

 素早く反応したのは 穂田里だった。
「よし、 いっちゃん。 天ちゃん様に可愛くお願いして」
 衣都は唸った。
 お願いするのは やぶさかではない。
 むしろ 教えてもらえるものなら 一所懸命にお願いしたい。
 だが、 「可愛く」が分からない。
 どうすればいい。
 衣都は真剣に悩み、 ただただ 唸った。
「うーん」

 そんな事とは知らない二人は、 動かなくなった衣都に、 何事かと驚いた。
 ちっとも動かない様子に だんだん心配になる。
 いいかげんに しびれを切らし始めた頃、 唐突に、 衣都がしゃべった。
「普通じゃ駄目か」

 天狗が溜め気を吐いた。
《はあーっ、 まっ、 しょうがない。 いいじゃろう》 
 天狗は衣都の頭の上に飛び移り、 印をいくつか結ぶと 手のひらを前にかざした。
 そのまま 四方八方を探るように動かしてゆく。

《ほほう》
「あるのか!」
 穂田里の問に、 天狗はピシッと指差した。



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コメント
1626: by lime on 2013/09/10 at 02:48:32 (コメント編集)

いっちゃん、可愛い(笑)
いっちゃんは、そのまんまでかわいいよと、伝えてあげてください。

しかし天狗。・・・そんなスグレモノだったとは!

1627:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2013/09/10 at 11:39:31 (コメント編集)

ありがとうございます。
旅から戻ったら、伝えます。
いっちゃん、あくまで無口です。作者は大変です。

天狗がスグレモノかどうかは、作者も考え中です。
どうなんだろ。

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