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薬種狩り 六の1

 夜の闇が 朝の光に勝ちを譲る頃、
 穂田里と玲は 待ち合わせの場所に急いでいた。

 二人とも しっかりとした旅支度をしている。
 護身の為、 穂田里は手槍を肩に背負い、
 玲は 使えるか使えないかはともかく、 腰に小太刀こだちを差している。

「絶対見つけような。 そしたら俺らは英雄だ。
 きれいなお姉ちゃんたちにモテモテで、 さばききれなくなったら、 どーしよー。
 いやー 参るなあ」
 男くさい環境で育った穂田里は、
 『きれいなお姉ちゃん』に 大いなる憧れと希望を抱いているようだ。
 獲らぬ狸を めいっぱい皮算用して、 場違いに浮かれている穂田里に構わず、
 玲は 前方を指差した。
「ほら、 あれが待ち合わせの遠見櫓だ」

 櫓の下には 衣都が立っていた。
 猟師のような身なりに、 いくばくかの旅の荷物を括り付けた背負子しょいこを持ち、
 足元を 柔らかそうな皮足袋で固めている。
 髪は、 玲が見た時より さらに短く切られたツンツン頭。
 腰に付けているのは、 駄狗の形身の山刀と 小さな赤い袋、
 魔除けが入った守り袋だ。

「おお、 あの子がいっちゃんか。 ちっこくて可愛いなあ。
 俺が十五の年には、 もっと大きく育っていたぞ」
 穂田里の感想を聞いて、 玲は楽しそうに笑った。
 男の子と勘違いをしている。

「へえ、 玲が声をあげて笑うのを 初めて見た」
「ふん、 君は英雄になって、 お姉ちゃんたちに せいぜいモテろ」
 言い捨てて、 玲は衣都に向かって片手を上げ、 呼びかける。
「玲だ。 覚えているか」

「官吏だったのか」
 無表情に答えた衣都の目に、 一瞬剣呑な光が走った。



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