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犬派のねこまんま その29     byねこじゃらし

<でかいウサギは、 人懐こいウサギだった>


 ベランダで飼うつもりだったから、 餌場は ベランダに決まっていた。
 毎日、 家族の誰かしらが刈ってくる 大量の草が、 どさりとベランダに置かれると、
 ウサギの耕助は バリバリと食べた。
 草の山に潜るようにして、 真っ先に 好物のタンポポからがっつく。
 トイレもベランダだ。
 食器用の洗いかごをトイレにした。
 ウンコは 網の目に引っ掛かり、 オシッコだけが下に墜ちる仕掛けだ。

 ウンコは 家の中でしてしまうこともあるが、
 オシッコだけは 必ず トイレでする。
 たまたま 途中に障害物があっても、 がむしゃらに乗り越えてトイレに行く。
 吃驚するような 大きな障害物でも、 なんのそのである。
 ものすごい ジャンプ力 である。

 普段の耕助は、 部屋の中で、 トッテン パッタンと悠長に暮らしていて、
 亀と競争したら、 確実に負けるわこりゃ、 という子なのに、
 トイレに行く時ばかりは、 ウサギの底力 を見せつけるのであった。

 ウンコは コロコロとしていて、 汚れも付かず、 匂いもほとんどないので、
 見つけたら 拾って捨てれば なんということもないが、
 オシッコは なかなかに臭い。
 家の中でされたら 大変なことになっていたと思うので、 この習性はおおいに助かった。
 排泄した後は、 自分で お尻をきれいに舐めるので、 きれいなものだ。
 耕助のお尻は きれいになるが、
 その後、 いつも 吾輩の顔を舐めに来るのには閉口した。
「今、尻を舐めただろ! 待て!! こらあ~!!!」
 抗議しても 受け入れることはない。

 トイレや餌で家の中が汚れないと分かったので、 安心して 家の中で遊ばせるようになった。
 トイレと餌以外は、 人間と一緒にいることが多くなった。

 そんな時、 「ただいま」と玄関から入ると、 奥の方から走ってきて飛びついてくる。
 そして、 吾輩の顔を舐める。
 うれしい。
 ウサギが こんなに人間に懐くものだとは思っていなかったので、 うれしい驚きである。
 ただし、 その直前に お尻を舐めていたかもしれない。
 たぶん、 舐めていた。

 充分 我が家に懐いて、 逃げ出すことはない と判断したのだろう。
 母親は、 暇な時に、 耕助を散歩させる ということを始めた。
 昼間、 人の出入りが少ない時間帯、 マンションの自宅がある階の廊下だけである。
 トッテン、パッタン、と端っこまで行き、 戻ってくるだけだが、
 両者にとって、 良い気晴らしになるようだった。

 一応 ペット禁止になっているはずだ。
 見られたらまずいのではないかと思うが、
 めったに他の住人とは顔を合わせないからと、 母は気にしなかった。
 そこで、 吾輩も真似をした。

 5~6軒先に、 玄関前に植木鉢を置いている家があった。
 きれいに手入れされた植木だ。
 耕助は、 生鮮食品めっけ!  とばかりに 喰いついた。
 あわてて引きはがしたが、 葉っぱが 少し減ってしまった。
 まずい!
 帰ることにした。

 と、 隣家のドアが開いて、 奥さんが出てきたので 挨拶をしたのだが、
 その間に、 耕助が、 さっさと隣家に上がり込んでしまった。

 一度、 隣家のお嬢さんに貸し出された事があるので(専用トイレも一緒に)、
 テリトリーに含まれているらしい。
 わがもの顔で入った。
「あらまあ」 と奥さんは笑っていたが、
 吾輩は人間であるからして、 追いかけて よその家に入るわけにもいかない。
 ちょっとばかり焦った。

 無事に 隣家の奥さんから耕助を受け取って帰り、 母に報告した。
「そうね、 お隣には入っちゃうわね。
 でも 他の家 は開いていても入らないから大丈夫」
 なあんて事を言う。
 しかも、
「あの植木はちょいちょい食べてるけど、 お腹を壊さないから 平気なんじゃないの。
 美味しいのかしらね」
 そういう問題なのだろうか。

 その上、
「○○さんは、 賢いウサギね って驚いてたわよ」
 他の住人 にも、 見られていた。
 ○○さんちの玄関先で、 出てきた奥さんと母がご挨拶をしたが、 耕助は 家の中に入らなかったらしい。
 ○○さんは、 ラーメン好きなオウムを飼っているという。
 ちょっと立ち話になった。

 我が家の玄関は 真っ直ぐな廊下の突き当たりにあり、 廊下からは 丸見えである。
 暑い盛りでもあり、 短いお散歩でもあることから
 ドアを開けっぱなしだったとか。

「耕助、 おうちに帰っていなさい」
 指をさしたら、 耕助は、 ひとりで、 いちもくさんに家に帰って行ったらしい。

 それを見た○○さん、
「私も子どもの頃、 ウサギを飼っていたけど、
 人のいうことを聞くウサギなんて、 初めて見た」
 絶賛してくれた、 と母は 得意げに 語ったのであった。

 う~む、 耕助が 人語を解した とは思えない。

 父が うっかり蹴飛ばした時、
「やっ、 これは失敬、失敬」
 と 思わず謝罪の言葉を吐いたら、
 すぐに近づいて、 気にしないでとでも言うように、 父の足を舐めたとしても。



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コメント
1580: by そうへい on 2013/08/24 at 21:51:18

おじゃまします

トッテン パッタン ???
どれ程の大きさのでしょう耕助さんは

私は亀を飼っているので、
結構速く動くので
競争させてみたかった

おじゃましました

1581: by lime on 2013/08/25 at 04:11:58 (コメント編集)

それは、めちゃくちゃ賢いうさぎですよ。
私もうさぎを飼っていましたが、きっと外に出したら、帰って来なくなったでしょう。
結局は庭に小屋を作って飼ったんですが。
やっぱり愛情かなあ~。大事にされたんですね。そのうさぎは。

庭で飼っていたうさぎは、あるとき庭に侵入してきた野良犬集団に襲われてしまいました。頑丈な小屋にしておけばよかったと悔やまれます。
きっと走るのが遅くて、逃げられなかったんですね・・・。(そんなところ、飼い主に似たか)

1582:いいウサギちゃんだったんですね by 八少女 夕 on 2013/08/25 at 05:40:06 (コメント編集)

こんばんは。
文章を読んでいるだけで顔が弛んできます。ウサギちゃんもかわいいけれど、ほんわかしたお母様といい、色々と心配するしのぶもじずりさんの様子がナイスです。

ウサギって普通なら人のいう事をきいたりしないんですか。そうかもなあ。イメージ的に外に出したら脱兎のごとく脱走しそうです。

1583: by 次席家老 on 2013/08/25 at 07:30:49 (コメント編集)

ウサギは,尻を舐めるんですか!
便利にできてるんですね~。

そこまで人に懐くとは・・・,
よほど頭がいいのか・・・,
いや,それはやっぱり,
お母さんのキャラに
安心しきってたからでしょうかね~。

1584: by flowerh on 2013/08/25 at 08:10:55

こんにちは~

賢いですね~

普通は逃げてしまうのに。

いろいろなところを破壊する子も少なくありません(--;

こうなると、
可愛くてしょうがないですね(^^)

1585:Re: そうへい様 by しのぶもじずり on 2013/08/25 at 14:35:01 (コメント編集)

いらっしゃいませ。

でかいと言っても、たかがウサギです。
たいしたことはないのですが、はじめにミニウサギだと思っていたので、余計に大きく感じたのでしょう。

亀は確かにイメージいていたより速く動くので、私もびっくりした覚えがあります。
競争していたら、そうへいさんとこの亀ちゃんが勝ったと思います。
そりゃもう、耕助の負けに決まりです。

1586:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2013/08/25 at 14:41:52 (コメント編集)

耕助も、野良犬集団に追いかけられたら、逃げ切れなかったと思います。
人間に飼われていたせいか、ウサギって、思ったほど速くない。

一家そろって、耕助を猫っ可愛がりしてました。ウサギなのに。

1587:Re: 八少女 夕様 by しのぶもじずり on 2013/08/25 at 14:51:01 (コメント編集)

いらっしゃいませ
一家そろって、親ばか状態でした。
甘やかし放題。

恋の季節に、巣を作ろうとしたのでしょうか、
たっかい絨毯の端っこに、見事な穴をあけちゃってくれましたが、誰も文句を言いませんでした。
ねこじゃらしの仕業であれば、たとえ小さな穴だったとしても、大騒ぎされたと思います。

1588:Re: ご家老様 by しのぶもじずり on 2013/08/25 at 15:10:27 (コメント編集)

動物って、飼ってみると、けっこう綺麗好きですよね。
人間とは違う基準なんでしょうけど。

なんといっても、一番懐いていたのはねこじゃらしだと思います。
ねこじゃらしの母は、初めの頃は怖がってました。
不器用な子ウサギが、舐める時に鋭い歯をあててしまうので、
舐められたところに切り傷ができてしまっていたのです。
人間は毛皮で覆われていませんからね。
切れ味の良い歯です。

根気よく指導して、上手に舐められるようにしたのが、ねこじゃらしでした。
手足が傷だらけになりました。
でも、そのかいがありました。

1589:Re: flowerh様 by しのぶもじずり on 2013/08/25 at 15:17:11 (コメント編集)

いらっしゃいませ。
可愛いなんてものじゃありません。
また耕助のことを書くと思います。

ある程度 壊すのはしょうがないですね。
人間とは違いますから。
そこは理解してやらないと。ウサギの都合というものがあるわけで。

1592: by はやとうり on 2013/08/28 at 21:09:25

こんばんは♪

応援コメントありがとうございます
心から感謝しています

うさぎの耕助君ですか うさぎさんとは生活した事がありません
やはり愛情を持って接すると懐き方違うのでしょうね
仰る通りうさぎさんの都合あるでしょうね
そう言う接し方が相手には伝わるのでしょうね

1594:Re: はやとうり様 by しのぶもじずり on 2013/08/29 at 17:34:55 (コメント編集)

いらっしゃいませ。

無理せず、のんびり楽しく行きましょう。

あれだけ可愛いワンちゃんたちがいれば、充分でしょう。
はやとうりさんの愛情を いっぱい感じていることでしょう。

暑さが一段落した頃に、体調を崩す人も多いようです。
油断しないで、ご自愛くださいね。

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