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薬種狩り 五の1

 有力な情報を手に入れ、 意気揚々と典薬寮に戻った玲だったが、
 それが 新たなる問題に火をつけた。

 衣都が示した三か所に 典薬寮から人を送り、 天狗苺を探そう。
 初めて出た前向きな提案に、 一時は 明るいきざしが見えたものの、
 目的地を調べたところで 意気消沈した。

 全員が 行くのを断った。
 理由は簡単である。
 生きて帰れるとは思えないから。
 至極もっともな理由である。 これ以上の理由は他にない。


隠忍おにの里〉
  大昔、 異国から流れてきた流浪の一族があった。
  が、 この国になじめず、 一族は 揃って秘境の地に隠れ住むようになった…… らしい。
  険しい山々に囲まれた難攻不落の其処が〈隠忍の里〉である。
  百年以上も訪れた者はいない…… らしい。
  今となっては、 排他的な一族だという以外 詳しい事は一切不明である。
  無事にたどり着いても、 追い返される可能性が大である。
  殺されそうになっても、 助けはこない。

〈忘れられた村〉
  あまりに辺境に位置する為、 いつの間にか そんな場所がある事さえ 忘れられていた村。
  その近くに 古くて豊かな森がある…… らしい。
  およそ人間が暮らしを営んでいる場所であれば、
  必ず現れるのが 国の徴税吏ちょうぜいりである。
  どんなに行き来が困難な場所であろうとも、 必ずや現れて 税をむしり取って去ってゆく。
  彼らは 役人といえども、 不屈の冒険野郎なのだ。
  彼らの執拗な目を逃れることは できない。
  それにもかかわらず 忘れられてしまったほどなのだ。
  どんだけ辺境なのか、 想像することさえできない。

  民部省には 徴税吏たちの情報をまとめた資料が保管されているが、
  それにも 村の名は無い。
  きっちり忘れられている。
  住人が居る場所で 民部省の資料から漏れているのは、 後一つ。
  他でもない。 〈隠忍の里〉だけである。


〈死者の森〉
  朝廷の資料を隅から隅まで探しても、 資料らしい資料が無い。
  いつのものとも知れぬ 根拠の怪しい伝承の欠片かけらによれば、
  古くから 死者の魂が行くところ といわれているらしい。
  無論、 本当かどうかなど誰にも分からない。
  死者の魂は 出来れば極楽、 それが無理なら せめて地獄に行って欲しいものである。
  何があっても不思議はない 正体不明の森…… らしい。

  どんなに頑張っても 死者の魂から税はむしり取れないので、
  当然、 民部省の資料には 一切記載されてはいない。



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