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迷惑な子ども――3


 テストを装って、 注意を引く為に、 ストロボを焚いてみる。
「何をするんですか?」
 興味を引かれて 寄って来たお客さんに、 セールストーク。
「あら、 じゃあ、 子どもが学校から帰ったら 連れてこようかしら」
「お待ちしています」
 幸先が良さそうだ。

 そうこうしているうちに、 最初のお客さんをゲット。
 愛らしい幼児の笑顔をおさめることに成功した。
 だが、 町はなかなか返ってこない。
 いいかげん、 次の段取りを教えなくてはならない。
 チラシ配り以外にも やってもらいたい仕事がある。
 出入口まで迎えに行った。

「どう、 少しは慣れてきた? 
 チラシ配りは もういいから、 戻って」
「あと二枚で おしまいです」
 二枚のチラシを、 しっかと握りしめ、
 褒めてくださいと言わんばかりに、 少し声が高くなっている。
「じゃあ、 次ね。 説明するから」
「あのう……、 あと 二枚なんですけど……」
「うん、 大丈夫。 戻るよ」
 星子が、 さっさとスタジオセットの所まで戻って振り向けば、
 のろのろと遅れてついてきた。

 撮影中に、 興味を引かれて、 次々と申し込みが続くことがある。
 そういうものだ。
 そういう有難いお客さんを逃がしたくない。
 撮影している間に、 次のお客さんには 申込書を書いてもらっておくように と指示した。

「写真が出来上がったら、 連絡しなくちゃならないから、
 住所と電話番号を 必ず記入してもらってね。 分かった? 
 分からない事があったら 質問して頂戴」
「……」
「大丈夫?」
 分かったのか、 分からなかったのか、 どうも元気が無い。

 昼時になったので、 社員食堂に連れて行き、 昼飯にした。
 町は 小食だった。

 夕方近くに、 店内のどこかで怒鳴り声がした。
「なんだろう。 ちょっと見てくるから、 お留守番しててね。
 お客さんが来たら、 呼びに来て」
 言い置いて、 見に行くと、
 総菜コーナーのおばさんが、 小さな女の子を叱っている。
 というより、 怒鳴りつけていた。

 目を丸くしてみていたら、 近くの店員が、 説明してくれた。
「あの子、 近所の子なんだけど、
 いつも これくらいの時間になると来て、 店内で悪さばっかりするのよ。
 おたくも 気を付けた方がいいわよ」



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