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迷惑な子ども――2

 翌朝は、 スタジオを組みたてる為に、 早めに出勤である。
 気合を入れて、 どんぶり飯のお代わりも忘れない。

 バイトの子は、 おとなしそうな女子高生だった。
 本社からは 大学生を依頼してあるはずだが、 手違いだろうか。
 女子高生は初めてだ。
 いつもより やさしい笑顔をおまけに付けて、 仕事の説明をした。

 手始めに、 店の出入り口で チラシを配ってもらうことにした。

 出来なかった。
 腰が引けてる。
 恐る恐る出しては すぐに引っ込めてしまうので、
 お客さんがチラシに気付き、 受け取ろうと手を出した時には、
 目の前から消えている。
 一枚も配れなかった。

 街かどで配るチラシに 飴玉が付いていたり、
 チラシではなく ティッシュを配ったりするのは、
 すぐに捨てられて 街を汚さないためだ という説を聞いたことがある。
 それもそうだろうが、 きっと、 慣れないバイトを使う為でもあると思われる。

 飴玉は 食べ物だ。
 ティッシュを使わない人間は いない。
 宣伝チラシではなく、 飴玉やティッシュを配っていると思えば 気が楽だ。
 初心者や気の弱い人間にとって、 ハードルが低くなる。
 星子はすっかり、 チラシ配りにも慣れてしまっているが、
 初めてだと、 難しく感じる人間は多い。

「町さん、
 もっと腕を伸ばして、 お客様から見える位置まで出してみよう。
 気が付いたら、 もらってくれる人が居るから。
 大丈夫。
 要らないお客様には 無理やり渡さなくてもいいんだから。 ねっ」
 やさしく指導して、 星子は 自ら手本をやって見せた。

「おはようございまーす。
 今日から一週間 お邪魔していまーす。
 いらっしゃいませー。 お気軽にお立ち寄りくださいませー。
 よろしくお願いしまーす。 いらっしゃいませー」
 にこにこと声を掛けながら渡せば、 ほとんどのお客さんが受け取ってくれる。
 持っているチラシが みるみる減る。
 一週間とはいうものの、 定休日があるから、 実質六日間になる。
 そこはアバウトだ。

 バイトちゃんの手にあるチラシを取り上げ、
 七、八枚ほどを改めて手渡した。

「それだけでいいから、 頑張って配ってみよう。
 無くなったら、 スタジオまで戻ってきてね」

 一人にしたら、 自分流のやり方を考えるかもしれない。
 サボる余裕があれば、 それも良し。
 初日だ。 慣れてもらうのが大事だ。

 バイトの女子高生、 町だけを出入り口に残して、 星子は戻った。



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コメント
1499: by lime on 2013/07/22 at 21:54:02 (コメント編集)

ビラ配りの人がいたら、すっと視線を反らせて、逃げてしまいます。
受け取ってあげたら、きっとバイトさんもうれしいんだとは思いつつ、きっと必要ないしないし、ゴミになるし。(ティッシュは、時々もらうんですが^^)
展開の予想がつかなくて、先が気になります。

1500:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2013/07/22 at 22:07:20 (コメント編集)

ビラ配りから逃げる人は普通に居ます。
わりと多いかも。だからのティッシュでもあるのでしょうね。

ファンタジーにはなってません。
展開は読めないと思いますので、考えない方が良いと思います。

わりとシリアスです。

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