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天州晴れ神霊記 人こそ見えね


 悲恋から起こった戦は 思わぬ余波を生み、
 国中に 不穏な空気を撒き散らしました。
 星都にまで邪気がはびこるに至り、
 事態を変えようとなさった 帝のお計らいをあざ笑うかのように、
 さらに、 災難が降りかかり、
 かなわぬ恋の恨みから 大内裏が破壊されるに及んで、
 天州晴は 暗く沈んでしまったのでございます。

 それでも、 その後に起こったかもしれない事態を思えば、
 いったい 何ほどの事でございましょう。
 それほどの禍事(まがごと)が、
 思いもよらぬところで、 ひそやかに 待ち受けていたのでございます。


 身分もない身には、 詳しい経緯(いきさつ)を知るはずもなく、
 ただ 上つ方の御言葉の端々から 推し量れるのみでございます。
 それは それは 恐ろしい企みだったらしい、 と記すのみに致しましょう。

 下々は何も知らず、 ようやく 落ち着きを取り戻しはじめております。
 ことさらに凶事をことあげして、
 いまさら 恐ろしい想いを知らしめる必要が何処にございましょう。

 一つ言えることは、
 その災いを 大事(おおごと)にさせることなく、
 帝を、 天州晴を救ったのが、
 他でもない、 伝説の霧呼姫だったらしい ということでございます。

 極光殿の騒ぎの折には、 目覚ましいお働きを見せなかったとはいえ、
 ここぞという時には、 さぞや 華々しくご活躍なさったことでしょう。
 その場に居合わせなかったことが、 返す返すも口惜しい想いではございますが、
 もう一度お会いしたい、 お姿を拝見したい と思ってはいけないのでしょう。
 それは、 とりもなおさず、
 天州晴の危機を意味することに他なりません。
 ただ ただ、 伝説のみを伝えるにとどめておきましょう。

 人々は何も知らず、 これから先も知ることなく、
 日々の営みに励むことでしょう。

 噂に高い名探偵も、
 のんびりと、 全国津々浦々温泉巡りを始めたらしい と聞いています。
 ひとまずは、 安心してもよいということなのだと思われます。

 風が涼やかになってまいりました。
 秋には、 めでたき事が待っております。

                       十三彦


             終章につづく




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