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天州晴神霊記 第九章――5

 斎布と志信は、 さっと 二手に分かれてかわし、
 後ろから、 尻を蹴り上げたり、
 脇腹を突いたりしながら、 ちょこまかと逃げまどった。
 幼い頃から、 鳥や獣と一緒になって、 森の中を駆けずり回って育っている。
 小回りの良さは 天下一品だ。

 神官は、 日頃から修業として体を鍛えている。
 体力にも体術にも それなりに自信を持っていた。
 しかし、 二人の動きにいらだって、
 力ずくでとらえようとしたところを、 もんどりうって投げ飛ばされた。
「え?」
 驚いている間もなく、 昏倒させられた。

「静かになったわね。 やるわよ」
「おお、 やれることはやっとかないと、 斎土様に怒られるもんな」
「志信、 そういう問題じゃないから。 陛下が心配よ」

 二人で、 思い付く限りに試してみたが、 呪は解けなかった。
「くっそーっ」
 志信が自棄になって 体当たりをしたが、 びくともしない。
 離れた場所から走り寄って、 飛び蹴りをしても 無駄だった。
「どうしよう」


     *      *      *


「名探偵は、 本当に当てになるのでしょうか。
 そこまで大胆な企てをするとは 考えにくいのですが」
 閼伽丸が、 歩きながら、 そっと溜息をついた。

「そんなの、 やってみれば分かる」
 四郎五郎は、 こともなげに応じた。
「もし間違っていたら、 ただでは済みませんよ」
「間違ってなかったら、 それこそただでは済まないだろう」
 すたすたと歩いて、 躊躇いもなく 神殿の扉の前に立った。

「通してくれ」
「何だ、 おまえたちは。
 剣まで携えて、 部外者にしか見えぬな」
 扉を護る神官の一人が 誰何した。

「ああ、 これは退魔の剣だ。 大神官に会わなくてはならん」
「大神官様は、 大事な秘儀を執り行っておられる。
 通すわけにはいかない」
「その秘儀とやらに 行かなくてはならないんだ」
「お前のような輩が参加するとは 聞いていない。 駄目だ」
「駄目でも、 通してもらう」
「なんだとお」

 傍若無人な言い方に、 神官たちが気色ばんだ。
 錫杖を構えて、 戦闘態勢に入る。

「あ~あ、 適当にごまかすとか出来ないものでしょうか」
 閼伽丸が言いながら、 うれしそうに構えを取った。
「嘘は 嫌いだ」
 四郎五郎が 言い終えるのを待たず、 錫杖が突き出された。
 避けるついでに つかんで引き寄せ、 蹴り飛ばす。

 奪い取った錫杖を、 己の武器にして、 立ち向かった。
 下手に白鷹丸で打ち合っては、 折れてしまうかもしれない。
 神官たちの錫杖は、 太くて丈夫そうだ。



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