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天州晴神霊記 第九章 大神殿――1


 大神殿から出てきた一行は、 闇夜の中、 二条通りに行きついた。
 二四ノ目辻と二五ノ目辻の間にある部分である。
 上位の神官らしい貫禄のある人物と、 行燈を下げて 真面目くさった顔をした平の神官。
 後ろから、 大男と長身の男が気負いも怯えも無く、 黙々と続いていた。

「最終試験だ。
 北州神殿からの推薦状にあるように、 まこと妖魔を滅する腕があるかどうか、 確認する。
 四郎五郎、 閼伽丸、 用意は良いか」
 二人の男は 無言でうなずいた。

 待つことも無く、 数匹の妖魔が現れた。
 二人は、 抜く手も見せず 斬り飛ばした。
「……」
「す、 すごい。
 凄いですけど、 大神殿のやり方とは、 またずいぶん違いますね」
「そうだな。 しかし……、 確かに魔を払った。
 大神官様に ご相談いたさねばなるまい。 まずはそれまで、 見習いとする」

 四朗五郎は、 さして不服そうにも見えず、 ニカリと笑った。
「この際、 大神殿に入れれば、 見習いでも何でもいい。
 食いぶち分は稼ぐのが 義理とかいうものらしいからな」
「これ、 大副様に向かって 何という乱暴な口の聞きようをするのだ。
 見習いらしく、 口を慎め」
 神官が持っていた行燈を揺らして、 気色ばんだ。

「うむう、 めんどくさいなあ」
 四朗五郎の言い草に、 大副が不審そうに、 眉を上げた。
「食いぶち?」
「いや、 何でもない、 なんでもない」

 生まれて初めての潜入捜査である。
 写録の指示だ。
 危なっかしいことこの上ないが、
 閼伽丸は おとなしく四朗五郎につき従っているだけだから、 いつもと全く変わりない。
 というより、 空っとぼけている。

「今は大事な時だ。 しばらくは見習いで励めよ」
「何があるのだ」
「近々、 星都の災いを一掃すべく、
 陛下御自らにお出まし頂き、 奥神殿にて 秘儀を執り行うのだ。
 くれぐれも 邪魔にだけはならぬよう、 おとなしく待っておれ。
 瑣末(さまつ)な事はそれからだ」

「へえー、 全然かまわないぞ」
「まずは その言動を改めなさい。 北州の田舎ではないのだ」
 大副が呆れたように注意した。

 ポリポリと頭を掻く四朗五郎に、 ヒラ神官が怒気を荒げる。
「返事は!」

「知ってる。 此処は星都だ」
 物静かな声でありながら、
 若者の漆黒の瞳が 強い光を放っているように見えて、
 平神官は二の句を失った。




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