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天州晴神霊記 第八章――8


 四郎五郎…… 退魔の剣…… 大男の側近…… 家出……!

 もしかして 四郎と五郎ではなく、 四郎五郎。
 思い出した。 そういえば、 奇御岳の二男は そんな名前だった。

「ええーっ」
「何を驚いている。 どっちにしろ、 大勢に影響は無い」
「あのう、 そういえば、
 二郎三郎様は、 生涯不犯の誓いを立てた とかおっしゃっていませんでしたか」
「どうせ 実質の伴わぬ婚儀じゃ。 世間は不犯の誓いなど知らぬこと。
 名目だけなら、 二郎三郎で構わぬ ということになったらしい。
 私も その方が安心だ。
 美以が 機嫌を損ねたのが、 かなわないけどな」
 かなわないと言いながらも、 千勢は何食わぬ顔で、 話を終えた。

 名目上の夫さえ嫌がって、 四朗五郎が家出した というのも、 何だか凹む。
 そんなに 自分は嫌がられていたのか。
 深い谷に墜ちた気分だ。
 這い上がれそうもない。

 二郎三郎は めまいがするほど美しい と聞いているが、
 四郎五郎の、 あの漆黒の瞳よりも美しいのだろうか。
 ふと考えて、 かぶりを振った。

 余計な事を考えても仕方がない。
 どうせ 自分は家出するほど嫌われている。

 どうにも面倒が増えていくばかりだ、 と斎布が頭を抱えているところを、
 ミミズの盆踊りで 呼び出された。
 一夜姫からの文だ。

 輪と志信と一緒に、 斎土府に来いとある。 事情聴取らしい。
「事情聴取?」
 意味不明だが、 行くしかない。



 これといって為す術も無いままに、 星都は 荒れに荒れていった。
 大神官が、 帝の元に訪れたのは、 そんなある日のことだった。
 いつになく 気合が入った登場だった。
「これ以上、 手をこまねいている訳には行きません。
 天州晴を統べる帝に、 是非、 お聞き入れいただきたく 参上いたしました」
 帝に相対し、 力のこもった視線を真っ直ぐに向けた。

「余に 何かをせよ というのか」
 帝は、 こころなしか 悲しげな表情を浮かべた。
「はい、 星都に残る阿古屋の恨みを、 根こそぎ晴らし、
 平穏を取り戻しましょう」


          第九章につづく


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コメント
1432:第8章、終了ですね(^^) by 大海彩洋 on 2013/06/30 at 08:04:58 (コメント編集)

おぉ、私も斎布の相手が急遽変更におののいてしまいました。四郎五郎が一人、という今更なうろたえも面白いけれど……(え? 実は、ってことはないですよね)
四郎五郎の漆黒の瞳より美しいのだろうか…ってのは、やっぱり恋心から発する言葉、ですねぇ。
斎布よ、頑張れ。
でも、結局、どんどん広がっていてまだ収拾するようには見えませんね……^^;
ということは、ラストの『根こそぎ』発言に期待して、第9章を待ちます!

1433:Re: 第8章、終了ですね(^^) by しのぶもじずり on 2013/06/30 at 12:03:44 (コメント編集)

大海彩洋さま、はい、いよいよ第九章に入ります。
ここにきて、意外な展開に驚いていただけましたでしょうか。
書いた時は、私も驚きました。
だってねえ、奇御岳家からすれば、行方不明のままなんですから、
他に、どーしよーもないかな。

家出した四朗五郎が悪い。

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