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天州晴神霊記 第七章――17


 勢いよく振り回される霧呼紐に呼び寄せられて、
 順調に 霧が流れ込んできていた。

 大内裏の建物や 出来たばかりの瓦礫の山が、 白く霞んで見えるほどだ。
 しかし、 肝心の化け物には届かない。
 渡殿が崩され、 困ったことに 火が付いた。

「必殺じゃなかったな」
「それでも止めないと。 しょうがない。
 突っ込むわ」
「気をつけろ。 あいつは出来立てじゃない。
 他にも技を持ってるかもしれない」
「うん」
 二人は、 互いに確認するように 眼で合図を送り、 走り出した。

 少し遅れて、 何処からか 勇ましい掛け声が響き渡る。
「者ども、 かかれー」
 問答無用の命令は、 斎土府の長、 一夜姫の声だった。
 「おう」と応える野太い声もする。 
 二人は 思わず立ち止まってしまった。

「そんな無茶な。 術を使えない兵に どうしろって言うんだ」
「でも、 なんかしてる」
 声ばかりではなく、 がたがたと大きな物を動かす音もした。

「今じゃ」
 再びの命令と共に、 見事に太い竹を割り裂いた樋が、
 あちらこちらから 化け物に向かって突き出された。
「あれはっ!」
「大納涼大会!」
 翌日に備えて、 大内裏じゅうに巡らされていた そうめん流しの樋だ。

「放水始め」
 一夜姫の号令からしばし、 大量の水が飛び出した。
 化け物を囲む炎を難なく突破して 降りかかる。

 そうめん流しに用意されたのは、 紫水川の上流から引いた水。
 竜神湖の水が大量に含まれている。
 願ってもない。
 斎布は紐を、 志信は剣を手放して印を結んだ。

 どこかで 輪もやっているはずだ。
 そう思いたい。




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