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天州晴神霊記 第七章――13

「えーと、 どちらさんかしら」
 輪が 胡散臭いものを見るように問いかけた。

「光石捜索の専門家じゃ。
 見た目は大いに怪しいが、 怪しい者ではない。
 陛下に仕えている十三彦じゃ。 光石とはツーカーの仲らしい。
 この者がツーと言えば、 光石がカーと反応する」
 一夜姫の紹介は意味不明だが、 その場で問いただす余裕はない。
 異変の最中だ。

「だいぶ違いますが、
 詳しく説明することはできませんので、 それで良いですぅ。
 光石を取り戻しませんとぉ」

「盗人め、 ずっと極光殿に隠しておったのか」
「いいえ、 つい先ほど移動しましたのですう。
 都中を捜しまわっても、 見つからなかった訳ですう。
 斎土府に隠れていたのですう。
 予備を蓄えてある庫に 紛れていたのだと思いますう」
 光石の産地は 極秘である。
 特殊な一族が、 古くからその地を守っており、
 彼らは 光石の在り処を感知することができる。
 帝の侍者を務める十三彦は、 その一族なのだ。

「ほほう、 光る以外にも取り柄があったのか。
 かくれんぼが得意とは」
「いいえ、 隠したのも 移動したのも犯人ですう。
 光る他には 全然役に立ちませんよぉ。
 でも、 人間の思い込みは怖いですからぁ」

 思い込めば、 鰯の頭も 他人の爪の垢(あか)も 特別になる。
 思い込みが激しければ、 時に 意外な効果を発揮することさえ不思議ではない。
 そこが危ない。
 ただの石が、 邪な思いを受け止める器(うつわ)になることがある。

「ということは、
 犯人と盗まれた光石が 今 極光殿に在るということよね。
 志信、 昆虫採集と 石拾いと 盗人退治をさせてあげる。
 いってらっしゃーい」
「いってきまーす」

 輪に簡単に乗せられ、 単身突撃してゆく志信を見送って、
 おろおろと十三彦が問いかける。
「一人で行っちゃいましたけど、 大丈夫なのですかぁ」
「駄目でしょうね。
 でも、 あたしたちって そりが合わないから、 一緒だとてんで駄目なのよ。
 斎土様。 納涼大会は やっぱり そうめん流しなのですね」

「いかにも。 準備は万端整っておる。 雨天決行じゃ。
 嵐が来ようと 吹雪になろうと 延期はしないぞ」
 吹雪は来ない。
 夏の盛りである。

「薄情者」
 十三彦のか細い声が、 大内裏の闇に飲まれた。



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コメント
1386: by キョウ頭 on 2013/06/14 at 22:00:11

異変の最中のハズですが、一夜姫がおそばにいらっしゃると、緊張感がなくなるというかw。
まぁソコがまたイイんですけどネw

1387:Re: キョウ頭様 by しのぶもじずり on 2013/06/14 at 23:21:47 (コメント編集)

そうですよね。少しは緊張感を分かって頂きたいものです。
これからますます大騒ぎになるというのに。
ひめさま~、事件ですよ~。

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