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天州晴神霊記 第七章――2

「一条路門脇に 『民の声・お届け箱』 が設置してあるのは知っているよね。
 そこに 二五ノ目辻の光石が光っていない という投書が入っていたのだ。
 それを確かめに行く」
「へえ、 誰が届けたの?  届け人には確かめたのかしら」
 青梅の言葉に、 斎布は疑問を投げかけた。

 『民の声・お届け箱』は 名前の通り、 誰でも朝廷に意見やお願いやらを書いて投書できるが、
 住所・氏名・年齢・職業・性別の他に、 何故か 特技及び趣味を書く決まりになっている。
 帝の意向だという。

「匿名だったんだ。
 でも 内容が内容だけに、 確かめた方がいいだろうということになってね」
「本当だったら大変ですものね」
 通常は、 無記名の物は即、 ゴミ箱に直行することになっているのだが、
 まだ前の一件が片付いていない。
 無視できなかった。

「単なる悪戯だったら良いんでしょうが」
「いいえ。 悪戯にしても許してはおけません。
 こんな事を見境なしにするようになったら、 星都の秩序は保てません。
 民が安心して暮らせませんから、
 悪戯だとしても 犯人を捕まえてきつーいお仕置きをしましょう。
 あへあへ言わせてやります」

 雅彦君の何気ない一言に反論する青梅だったが、
 あずきと手を繋いで ぶらぶら揺らしながらしゃべっているので、
 あまりきついお仕置きには聞こえない。
 あずきは ウザそうに付き合っている。

 すっかり日が暮れて、 瞬き始めた星明りと 雅彦君が持っている下げ行灯が頼りだ。
 中町を抜けて 大神殿の裏を通り、 境内に出たところで 聞いた覚えのある声がした。
「みーつけた」
「うわあああ~」
 斎布が固まった。
 背の高い男が走ってくる。
 四郎五郎だ。 少し離れて 大男の閼伽丸もいる。

「通信文が無くなっていたので、 きっと来ると思って 待っていたのだ」
 斎布はぎょっとした。
 欅の枝から回収したものは読んだ。
 はじめに手に取ったものには
 『まつと書いたが 松の木ではないぞ。 この木のことだぞ。 念のため  四郎五郎』
 意味不明で、 目が点になった。
 どっちが四郎で、 どっちが五郎なのだろう。
 全く似ていないが、 もしかして兄弟なのだろうか。
 一緒にすると、 どこかで聞いたような気がするのが不思議である。
 次々と開いてみた。

『邪魔者を撃破するべく 文を送った。
 その為にも、 大作戦はきっと成功させなくてはならぬ。
 全力を尽くすから安心しろ  四郎五郎』
 安心できない。
 やっぱり意味不明だ。

『どうして来ない。 不測の事態が起こっているのか。
 せめて返事をくれ  四郎五郎』
 忘れていたのは悪かったけど、 一方的に責められても困る。
 こんなにすぐ連絡が来るとは思っていなかったのだ。



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1355:管理人のみ閲覧できます by on 2013/06/01 at 21:05:35

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