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天州晴神霊記 第七章 二五ノ目辻――1


 斎布と雅彦も召集され、
 輪と志信に同行して 一条路門に向かって歩いていた。
 夕暮れ時である。
 すでに 薄暗くなってきていた。

 後ろから 好奇心に駆られたあずきが、 エダマメを肩に乗せて こっそりとついて行くが、
 小さ過ぎて 四人は気付いていない。
 一応見つからないようにしていたが、 あずきは 心配なんかしていなかった。
 見つかっても 一人で帰れとは言わないはずだ。
 言われたら、 怖いから一人では帰れない と涙ぐんで見せれば 大丈夫だと思っている。
 抜け目なく 人格を使い分ける気満々である。

 一条路門では 斎土府唯一の文官、 山委曲青梅が待っていた。

「霧呼姫と雅彦君は 文官さんの護衛をして頂戴。
 妖魔は ここんとこ出てこないけど 念のためよ。 お願いね」
 輪の指示に 志信が不満を口にする。
「俺が霧呼様と行く。
 俺と一緒だと 芋虫を噛み潰したような顔ばっかしてるんだから、
 雅彦君を連れていけばいいだろ」

「兄貴、 噛み潰すものが違ってる。 そこはイモムシじゃないよ。 ニガムシだよ」
 思わず突っ込みを入れてしまい、 あずきは あえなく見つかった。
 エダマメが 大きな目をパチリと瞬きした。

「あっ、 付いてきちゃったのか。 帰れ」
 情け容赦のない志信に、 青梅があずきを庇った。
「こんなに小さな子を 一人で帰す訳にはいきませんよ。
 私たちと行きましょう。 内裏は今危険です。
 肩車をしましょうか。
 ベロベロバー、 怖くない 怖くない」
 あずきは ここぞとばかりに、 ウルウルした目を輝かせる。
「だいじょうぶ。 …… あたし、 歩けるもん」
 青梅の袖にすがって、 志信に こっそり片目を瞑ってみせる。

「志信、 内裏には あんたが来なさい。
 雅彦君は 虫が全く苦手なのよ。 虫っぽいものは 全部駄目。
 仕方がないでしょ」
 輪に襟首をつかまれて、 引きずられていく志信を見送り、
 斎布と雅彦君、 青梅とあずきは歩き出した。

「何処に行って、 何をすればいいの」
 連れてこられたものの、 護衛という以外に 斎布は何も聞かされていない。
「二五ノ目辻です」
 青梅が答える。
 大内裏からは一番遠い目辻だ。 孔雀町が近い。



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