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天州晴神霊記 第六章――6


 斎布に挨拶に出たあずきは、 直接聞くことにした。
 しかし、 返って来た答えは 今一つ要領を得ない。
「あずきちゃんになら 相談してみたいのは山々なのだけど、
 国家的な極秘事項にかかわってくるのよねえ。
 私の目論見は、 今のところさっぱりだし、
 これからが正念場なのだけれど、 言えないわ」

「おお!  国家的大秘密事項!  怪しい目論見! 
 天州晴征服も最後の詰めなのだな」
 志信が気勢を上げる。
「そこまで言ってないけど」
「でも姫様。 そんな風に聞こえないこともないよ」
 あずきの冷静な指摘に、 斎布は今更うろたえる。
「えっ?  ええっ!  え――――っ! ! !」

 たまたまやって来た雅彦君が、 斎布の大声にのけぞった。
「霧呼様、 どうなさいました。
 痴漢ですか。
 押し売りですか。
 それとも説教強盗とか、 あっ、 間違えました。 居直り強盗とか」
「訂正しなくても 全部違うから。
 なんでもないわ。 ちょっと驚いただけよ。 ごめんね。 何か用?」

「それは良かった。 輪様が 志信殿をお呼びです」
「解った。
 今すぐ行って、 返り討ちにしてやる。 負けないぞー」
 志信は 勇んで出て行った。
 雅彦君は 困った顔で後を追った。

「志信兄貴は戦闘態勢ですね。 どうしちゃったんですか」
 あずきは目を丸くした。
「どうもね、 輪叔母様とは天敵らしいの」
「兄貴も大物に成長したんですね。
 あの輪様に対抗するなんて、 勇気あるわあ」
 言われてみれば そんな気がしないでもない。
 が、 天敵はともかく、 成長したらしいのは斎布も感じていた。
 日に日に大物に育っているのかもしれない。
 それに引き換え、 自分はどうなんだろうと思ってしまう。

 都に出てきてからの出来事を つらつら慮(おもんぱか)ってみると、
 何も進んでいない気がする。
 出てくるのは、 素性も知らぬ青年に助けられ、
 抱きかかえられ、 目の前でみっともなく転び、
 おまけに慰められてしまった 恥ずかしい出来事ばかり。
 思い返す度に 身が縮んで 小さくなっていく気さえする。
 米櫃(こめびつ)の中をうろつく コクゾウムシになった気分だ。
 米粒に押しつぶされそうだ。

「輪様は 兄貴に何の御用なのかしら。
 天敵なのに」
「呼びに来たのが 叔母さまの助手をしている雅彦君だから、
 お役目のことじゃないかしら。
 あら、 変ねえ。
 妖魔は めっきり出なくなっているというのに」

 あずきに問われて、 斎布は首をひねった。
 コクゾウムシになっている場合ではないかもしれない。



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コメント
1345:相変わらずの軽快な進展(^^) by 大海彩洋 on 2013/05/26 at 09:33:43 (コメント編集)

いやもう、エダマメにあずきちゃん、このちぐはぐな結構あてになりそうにない助っ人を得て、今後どこへどうなるのやら、楽しみです(^^)
「ただ飛べるだけ」でしばらく笑いました。かなり力の入った登場だったのに……(@_@)(@_@)^^;
もっとも、これまでも、大概役に立ちそうにない(と、失礼しました)方も、誤解と行きがかりで活躍されているので、どんな展開になるのか……(^^)
それにしても、志信の一家全員の勢揃い、観たい気がします。

1346:Re: 相変わらずの軽快な進展(^^) by しのぶもじずり on 2013/05/26 at 10:19:21 (コメント編集)

お豆なコンビ、可愛いでしょ。
いやあ、私も気がつきました。
この物語は、題名だけ気合いが入っているものの、登場人物が困ったチャンだらけだわ。
しっかりと頼りになりそうな人物にならないのは、作者のせいでしょうか。
困ったわ。

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