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天州晴神霊記 第六章――4


「捕まえようとすると消えたとか。
 虫ではありません。
 それが 夜毎に数を増して、 近頃は 珠由良殿を取り巻くほどに びっしりと現れるそうで、
 幸い、 珠由良の前は気づいておられないのか、 何もおっしゃらないようですが、
 女官たちが気味悪がっているので 調べてほしいとのご依頼です」

「斎土府の神官さんは どうしちゃったのかしら。 調べてくれないの?」
「それが…… 現れるのは真夜中過ぎ。
 神官殿は お歳がお歳ですから、 早寝早起きが徹底していらして、
 待っているうちに眠ってしまわれるとか。
 役に立たないようです」
「虫は嫌いよ」
「だから、 虫じゃありませんから」
「じゃあ、 志信を連れて行くわ。
 虫取りが得意らしいし、 子供だから 内裏に入れても平気よね。
 虫取り網とか要るかしら」
「人の話をちゃんと聞いてますか」

「そういえば、 御水様が動き出したらしいじゃないの」
 輪は するりと話題を変えた。
 宗靭は、 諦めて落ち着きを取り戻すことにした。
 眉間の皺が薄らぐ。

「はい、 橋大工たちの喧嘩も すぐに収まることでしょう。
 婚礼と架橋工事の発表にも、 間もなく問題はなくなると思われます」
 珍しく輪が押し黙った。
 やがて ぽつりと呟く。
「できそこないとはいえ 霧呼姫なのよねえ。
 こんな使い方をして 本当に大丈夫なのかしら」



 一方、
 知らないところで内裏に出張することが決まってしまった志信に、
 訪ねてきた者が居ると知らせが入った。
「おお、 やっと来たか。 何人かなあ」
「一人ですよ。 一人と一羽…… い」

 取次の侍女が 続いて何か言いかけたが、 志信が叫んで駆け出すのが先だった。
「嘘―っ」
 慌てて出迎えれば、 肩にミミズクを乗せた女の子だ。
「よっ、 兄貴。 来たよ」

 都大路で 心もとなげにうろついていた時とは 様子が違う、
 はきはきとした女の子が、 片手を上げて 無雑作に挨拶した。




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コメント
1341: by lime on 2013/05/23 at 20:23:26 (コメント編集)

この、ミミズク少女、気になりますね。
登場の仕方もムードがあって好きです^^
2のあと、何か変化があったのか。
雰囲気が違うけど。
ちょっと前、カラスを肩に乗せた少年を書けないかなと思ったんですが、インパクトで負けました^^

1342:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2013/05/23 at 23:31:23 (コメント編集)

また登場人物を増やしてしまいました。
これでも、ぎりぎりに絞った末です。

鳥を肩に乗せるって、憧れますよね。
私が実際に肩に乗せたのは、文鳥とカナリアだけですが、
小さいミミズクとか乗せてみたいです。
一応猛禽類になるのかな。
鷹だったら文句なしですが、諸般の事情から、ここはミミズクにしました。

カラスも良いですね。

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