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天州晴神霊記 第五章――7


「ずいぶんと大がかりなんだな」
 志信が目を丸くした。

 夕暮が迫る頃、
 大神殿前の広場では 大勢の神官たちが立ち働いていた。
 写緑を引っぱりまわした翌日のことである。

 大神殿が 魔除けのお祓いをすると聞いて、 斎布は興味を覚えた。
 急いで確かめてみれば、 本当だという。
 しかも、 大神殿が大がかりな魔除け祓いをするのは 初めてらしい。

 星都自体が 魔除け装置になっているのだ。
 鬼道門家も見張っている。
 これまで そんな必要がなかったのは 容易にうなずける。

 輪に『できそこないの霧呼姫』と言われた時は、 仕方がないと思っていた。
 しかし、 伝説になるのは難しいとしても、
 『そこそこ使える霧呼姫』なら 何とかなりそうな気がしている。
 思い返せば、 志信のおかげで 色々と切り抜けてこられた。
 自分も 少しは頑張らなくてはいけないような気がし始めていた。
 大神殿が どういうお祓いをするのかを見物出来たら、 何かの参考になるかもしれない。
 こんな機会は めったにないだろう。
 思いついたら、 即、 『解散』と叫んで走り出していた。
 退魔の剣の使い手は、 図らずも 斎布の『作戦その三』と同じ目的を持っているらしいが、
 共同戦線を張るのは、 何かまずいことになる気がした。


 広場の真ん中には 陶製の台に、
 薄い煙を上げている香炉と 呪を書き散らした 太く短い丸太が立てられている。
 香炉で焚かれているのは 魔寄せの香だろう。
 それを囲むように 呪が書きこまれた木切れが 組み上げられている。
 さらにその外に、 大きく取り囲むように、
 かがり火を焚く為の鉄の台がぐるりと丸く一列に取り囲んでいる。
 かなりの数が用意されていて、 大きな輪が出来上がっていた。
 その傍に 大量の木片が次々と運ばれて 積まれてゆく。

 斎布と志信が 木立の蔭から 興味深げに見入っていた。
「派手なことになりそうね」
 拝殿の前に 恐る恐る集まっている何人かの姿が見えた。
 どれも 良い身なりをしている。
「あのおっちゃんたちは 何だろう。
 あんな所に居たら 危なくないのかなあ」
「お祓いを依頼した 都の有力者たちだわ。 たぶん」

 広場で立ち働いている神官たちより 落ち着いた風情の神官が出てきて、
 彼らを拝殿の中へと導き、 あちこちにお札を張って 結界を作っている。
 依頼主たちに 見物させるつもりらしい。
 すでに 一般に参拝する人の姿は無い。
 いつもとは違う様子に、 何が始まるのかと興味をひかれていたらしい者も、
 夕暮れに追い立てられたように 姿を消していった。

 忙しげな神官たちは、
 まさか まだ残っている人間が居るなどとは 思いもよらないのだろう。
 物陰から覗いている二人が居ることには 全く気付いていない様子だ。



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