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天州晴神霊記 第五章――5


「すなわち、 犯人は 妖魔を恐れていない。
 犯人は 魔を祓う手段を持っているのだ」
 どうだ と言わんばかりに、 髭に手をやる。

「噂を流したのは 誰かしら?」
 斎布が ぽつりと疑問を口にした。
「斎土府から漏れたのじゃないのか」
「違うわ」
「ほほう、 それなら犯人だろう。 他に知っているとすれば、 犯人だけだ」
「何故、 噂を流したりするの?」
「そ、 そこまでは、 まだ……。 手がかりが足りない」
「なあんだ。 もう終わりか」
 がっかりした志信に挑発されたのか、 名探偵の意地が首をもたげた。

「これは 行き当たりばったりの犯行ではない。
 計画的な犯罪だ。 なにか目的があるはずだ。
 事件で利益を得たものを探せ」

 利益を得た人間は誰だろうかと それぞれが考えをめぐらせていると、
 志信が口を開いた。
「今んところ、 儲かってるのは 大神殿神札授与所くらいなものだぞ。
 お札が飛ぶように売れている。
 授与所のペーペー神官が犯人なのか」

「恐ろしいザル頭だが、 言っていることは あながち間違いでもない。
 あくまで 今分かっているところはだが、 利益を得ているのは大神殿だけだ。
 都の有力者たちが 大金をはたいて 魔除けのお祓いを依頼したとも聞いている。
 明日の晩、 大々的にやるそうだ。
 しかし 大神殿が君のザル頭と同じ程度とはまったく思えない。
 お札の売り上げ倍増を狙って 光石を盗むほど阿呆じゃない。
 まだ 事件は途中なのかもしれないな。
 そうだとしたら、 全部事件が終わらなければ 目的が見えてこないだろう」

「えっ、 途中で止められないのか」
「名探偵とは そういうものだ」
 鯰髭を一撫でして、 気障な笑顔を作った写緑を 四人が無言で見詰める。
 名探偵より警邏隊のほうが役に立ちそうだ と四人の目が語っていた。

 斎布が黙って 志信の手首をつかむ。
「解散!」
 いきなり叫んで 走り出した。



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